日本料理の「いろりの里」が5月で閉店した。小平名物がまたひとつ姿を消した。北は玉川上水緑道に面し、南はすぐ近くを五日市街道が東西に走る。門前の小松橋を渡りしばらく歩くと平櫛田中彫刻美術館がある。コロナ禍で長期休業に入り、つい最近営業を再開したばかりで突然の告知だった。
打ち水をした受付のそばには大きな水車が回り、夕暮れの竹林越しの和室では和服の女性が琴を演奏して迎えていた。日本庭園の中に個室が並び、ミニSLが引っぱてくる貨車から子供たちは自分たちで扉を開けて料理を取り出す。出発の時は汽笛が鳴り響く。
小平市のオープンガーデンに指定され、いろりの里の庭園には自由に入ることができた。かつて鈴木忠司さんの玉川上水観察会のメンバーたち、あるいは遠来の友人たちと庭園を訪れたことがある。閉店後はどうなるかだが、竹林を含めた日本庭園は残して欲しいものだ。
閉店と言えば、今から6年ほど前の欧風料理「マ・メゾン」のことが思い出される。いろりの里の近くで、五日市街道沿いにあり、アルプスの山小屋風の建物にワイン樽が並べられ薄暗いランプ照明の雰囲気のある洒落たレストランだった。これで遠来の友人をもてなす自慢の店が我が家の近くにはなくなった。