好天続きで玉川上水緑道は歩くと土ぼこりが舞い上がる。連日の暑さの中で庭のサルスベリの赤い花が咲き誇りそこだけは鮮烈な印象を与えている。ときおりシジュウカラの群れが他でもないサルスベリの枝を訪れてしばらくすると移動していく。8月23日から9月7日までは二十四節気の処暑だ。昨日は節気に一度のオープンギャラリー友の会の日だった。この会はいつでもだれでも自由に参加できる。
友の会は節気の初めの日曜日の朝10時半からお昼ごろまで開かれる。雨天は中止である。私は連日の暑さから今回は参加を止めようと考えたが思い直して出かけた。主催者である鈴木さんがどんな趣向を凝らして楽しもうとしているのか興味があった。この会の継続を意思しそれを実践していることに多くの人が敬意を抱いているのは間違いない。私が比較的熱心に参加するのは毎回のように何らか得るものがあるからだ。
萩の花・尾花(ススキ)・葛花・撫子の花・女郎花・藤袴・朝貌の花(キキョウ)を秋の七草という。今回の節気のテーマは秋の花である。今年は撫子と桔梗がこの時期すでに咲き終わったと鈴木さんの報告があった。ギャラリーの展示写真を見ながらその節気の特徴の説明があり、そのあとその時々のポイントの場所を目指して緑道を散策する。その道中に目に飛び込んでくる草花や昆虫などを鈴木さんをはじめ参加者の誰かが教えてくれる。私にはそれが聞き逃せない。今回の目的地は愛好の志が道路予定地を市から借り上げて野草を育てている「どんぐり公園」だった。
翅を閉じている時は木肌とそっくりな色の「ルリタテハ」という蝶がクヌギの樹液にやってきているのを誰かが見つけた。しかも「つがい」である。翅を開くと輝くような瑠璃色の帯が走っている。また熟れかかった実をつけたゴンズイという名の低木をある人に教えてもらう。どんぐり公園ではこれは「ツマグロヒョウモン」という蝶だと他のある人が教えてくれた。ツマとは端のことだ。たしかに豹の紋様だった。公園ではかろうじて残っていた撫子、桔梗それぞれ最後の一輪の花を見つけて歓声が起きた。垂れ垂れに咲く萩や黄色に群がり咲く女郎花(おみなえし)は健在だった。辞典で男郎花(おとこえし)を知った。こちらは白色の細花が多数開くらしい。