
整理することは難しい。事が終わった直後であればなおさらのこと。撮りためた写真、タイムテーブルが掲載され毎日発行された船上新聞や記録物など。いずれは更なる整理の必要性を知りつつひとまず片付けなければ先へ進めない。
日常の整理も然りである。衣替えをしつつ、たいして着もしない服を思い切ってこの際捨てようかと分けながら、空きスペースがあると戻してしまう。台所の大して使わない茶碗、皿も捨てられない。
そんなわけで、捨てられない私としは買わないことに限る。旅行中もそうであった。ドルやユーロが使えず現地通貨に換金する場合も最小単位とし、しかもそれすら使い切ることに苦労した。私が求めたお土産は実にささやかで、孫の服各1枚ずつと玩具少々、チョコレ-ト3包,、有機コ-ヒ-3ビン、気候寒冷地で自分用のチョッキ1枚、あとは現地通貨を使い切るために絵葉書やCDなど。長い留守をあずかってくれた捨て猫さんへの土産も貝殻1個のみ。残ってしまった紙幣や硬貨は下船の数日前船内に設置された寄贈箱に入れた。
買い物風景も様々だった。中には寄港地ごとにドッサドッサと買い込む人もいた.これは誰に、あれは誰にと言いながら。買い物好きな人にとっては絶好の機会だったのだろう。今回の寄港地は先進国より発達途上国が多く、物価の安いところが多かったから。それにしても貰った人は本当に喜ぶのだろうか。たとえ自分用でも帰国後ほんとうに身にまとうのだろうか。
おかげさまで、下船の荷作りも簡単至極。使い古した運動靴やタオルを捨て、船内でレクチャーを受けた各講師の著書などをいれても、帰省用の冬服を出したら持参してきたスーツケース2個にピッタリ納まった。あたりを見渡したところ皆さんの荷物の多いのにタマガッタ(驚いた)。スーツケースの上に段ボールを山高く積んでカートで運んでいた。
税関でCHECKありと聞いていたけれど、これでは時間がかかったはずだ。ご丁寧にも荷物、乗客の送りだしなどいずれもman to manの対応だった。時間を区切っての下船だったので時間が来るまで自分用の個室のベッドでヘッドホンを聞いていたのだが、それでもヤ・レ・ヤ・レであった。私は官吏に 「酒、タバコありますか?」と聞かれ「ありません」 と答えて素通りだった。写真はパルテノン神殿。 エーゲ海は碧く、空は澄みわたり、建物は白く海辺からなだらかに丘へつらなっていた。