囲碁棋士の高尾紳路九段のブログがある。棋譜を張り付けた自戦解説があり、この手はこう打つべきだったという、棋士らしい記事がある。その一方で、バスケット千葉ジェッツ、野球の千葉ロッテの試合観戦、競馬場へ出かけた(一口馬主でもある)などの記事も多い。破天荒な棋士だった藤沢秀行の弟子だけのことはある。
1月31日のブログは、噴煙を上げる桜島の写真に「また鹿児島に来てしまった。桜島は今日も綺麗です」だった。2月2日は「沖縄から石垣島へ移動。今回の旅行最大の目的、千葉ロッテのキャンプ見学!佐々木朗希投手を生で見てみたい!ホテルで競馬見てから、球場に来たら、練習は終わってましたが・・・(馬券も外した)」とあり、背番号17の佐々木投手をとらえた写真が添えられていた。
久しぶりに池田晶子の本を手にした。本質洞察に特異なひらめきを見せて、しかも直截に物申すところが魅力だ。釈迦、ヘーゲル、一休などの古今東西の思索者の寸評がある。たとえば親鸞、「理知によって真っ直ぐにそういう境地に至ったのではないように感じられる。なんというかヌケが悪く、悩みぬいて苦しみぬいて自ら気付かないうちにいつのまにか至った境地なのでは」
人生相談で「主張する自分の内容もないのに、誰も彼もが自分と自分の意見とを主張している。ブログというのは無内容な自己主張の極まるところでしょう。なんと空しい光景でしょう。そんなのまあ動物の叫びか鳥の囀りみたいなもんですね。人間は、自分を主張するから人間なのではなくて、その人間とは何かを考えるから人間なのです」と言い切る。