大暑になるとクヌギの樹液の甘酸っぱい香りに出会うことが多くなる。玉川上水の樹液酒場にはいろいろな昆虫が集まる。甲虫ではカブトムシ、クワガタ、カナブン、蝶ではルリタテハ、ゴマダラチョウ、蜂ではスズメバチなどである。二か月前に生垣のスズメバチの初期の巣を撤去したことが思い出された。二か月だけ仲間に入れてもらった小学校の終業式の日に孫娘は私の予想していなかったものを持ち帰った。担任の先生の心遣いに感謝した。それは「すみれちゃんへ 1ねん1くみ みんなより」とマジックで表紙一杯に書かれた冊子だった。
最初のページには黒板を背にしたクラスの集合写真がありつぎのページには「すみれちゃんへ いつも かわいい えがおを みせて くれて ありがとう。また げんきに あいましょうね。 ○○○せんせい」とある。そのあと28名全員のメッセージが14ページ続いている。「だいすきだよ。またあいたいね。いもうとつれてきてね。おぼえているよ。きをつけてね。あめりかにいきたいな」これは妹連れでたがいの家で遊んだ女の子が書いた。「あんまりはなしてないからこんどあそぼうね」これは学童に通う男の子が書いた。
6月中旬に成績評価表「あゆみ」についての打診があり、記念になるからと作成をお願いした。それの担任所見の欄はつぎのように書かれていた。「一年生の中で一番成長したのは、誰が見てもすみれさんです。国語の教科書を複写したり、算数の計算を素早くしたりと意欲的でした。黒板の字を消すときは、他の子が届かないところまで手が届き、皆に「すごい」と言われていました。音楽の時間、英語の歌を取り入れるとうれしそうな顔で歌っていました」黒板係であることは知らなかった。一つの区切りを迎えたが、ひらがなはまだ半分ほどしか読めていないようだ。書くとなればさらに難しいことである。
終業式から7月31日の帰国までの一週間に鹿児島と長野へそれぞれ2泊3日の旅行を計画している。曾祖母(ひいばば)のいる鹿児島には爺と2人で飛行機に乗り、婆の仲間が集まる長野には婆と2人で特急あずさ号で行く。週の前半の鹿児島では吹上浜の潮干狩りが楽しかった。鹿児島市から山を越えて薩摩半島の西海岸の吹上町入来の浜でナンゲ(石貝)と呼ばれるいろいろな模様の小さな貝を採った。春先から秋にかけて潮干狩りはできるという。この日は潮干狩りをする人はほとんどいない。南の坊津方向に見える姿のいい山は野間岳だという。場所を移動して海水浴もした。ナンゲは砂を吐かせる必要もなくお澄しでいただくのがいい。ほんとうに澄みきった味がした。