暖かくなる前の散歩では、ハクモクレンとミツバツツジが目を楽しませてくれていた。暖かさが続いて、庭ではフキの若葉が徐々に地表を覆い始めている。畑のシュンギクの隣りでは小松菜がひよろひよろと伸びてスイセンよりも濃い黄色の花をつけている。とっくに梅は散ってしまい、ウメモドキとカイドウが小さなつぼみを開いている。カキの木の枝先に、ぽつぽつと緑が見え始めた。
ガラス戸越しに小鳥たちが見える。その姿を碁石を並べていた手を止めて眺めることがある。ごくまれに現れるのは尾の長い体形、頭上の黒、青い翼と尾のオナガだ。図鑑にオナガは九州では見られないとある。庭の主の顔をしている一羽のヒヨドリがいる。庭の隅に米ぬかを撒いてみた。そこへ、それぞれ二羽のスズメとムクドリが米ぬかを訪れた。その米ぬかをめぐる三者の攻防を飽かず見ていた。(22日の観察会にて・アマナとニリンソウ)
春夏の甲子園がなぜもこのように多くの人々の関心をよぶのだろう。花見などと同じように日本文化の一つと言っても良いのではないか。彼岸の中日の21日のセンバツの開会式では敦賀気比の篠原涼主将が短歌を交えた選手宣誓で話題になった。「グランドにチームメイトの笑顔あり夢を追いかけ命輝く」がそれである。敦賀気比の教室に短歌を愛でる国語教師の存在を想像したりした。
敦賀気比は地元以外から有力選手をスカウトしている。篠原君もその一人で、母と兄の三人家族で富士宮市に住んでいた。宣誓の中で「多くの皆さんに支えられ大好きな野球ができることに感謝します」とあった。また「生まれ育ったふるさとで、移り住んだところで、それぞれの思いを抱きながら」とある。篠原君のありのままを綴った宣誓の言葉であることが分る。気比とは敦賀市にある「気比神宮」の気比である。