「人生経験豊かな高橋源一郎さんに、悩みごとを相談してみませんか」のコーナーが新聞に毎週掲載される。高橋源一郎の回答は含蓄に富み直截的な物言いで、なかなかの説得力がある。1950年の元旦生まれ、1970年学生運動に加わって凶器準備集合罪で逮捕され、半年間東京拘置所で過ごす。
20代の10年間は土建会社などの肉体労働に従事。1981年「さよなら、ギャングたち」で作家デビュー。1988年「優雅で感傷的な日本野球」で得た三島由紀夫賞の賞金を競馬の日本ダービーに突っ込みすべて使い果たす。それを契機にしばらく競馬評論家など続ける。4度の離婚歴と5度の結婚歴がある。
62歳の女性からの「生きていても楽しくありません。早く亡き父母のところへ行ってしまいたい」という相談があった。その回答「人生がすっかり楽しくなくなってしまった場合の処方箋、実はあります。効果があることは実証済みです。何もかもなくしてしまえばいいんです。まずは貯金を使い切る。ギャンブルやお酒はどうでしょう。宗教にはまってもいいです。できたらインチキくさいやつに。(中略)
最後は路上で倒れ〈あのつまらないと思った日常こそ最高だった〉と死ぬほど後悔する。いまより、ずっと刺激的な生活を送れます。どうぞお試しください。そこから戻れたら、たぶん楽しい生活が待っています。戻れなくても、いいですよね。少しの間でも楽しめれば」また高橋源一郎はNHKラジオ金曜夜の「飛ぶ教室」でも活躍中だ。