最近になって市内全域の用水路の水が止まった。おそらく10月1日の台風24号の後遺症によるものだろうと考えた。ところが新堀用水にある胎内堀の保全工事のためだった。工事については事前の告知があり説明会が開催されている。また用水路の生きものを守ろうという請願が市議会に出されたりもしたらしい。私も胎内堀の横を何度か通り、工事説明の立て札を見ていたが、それをすっかり忘れていたのだった。
新堀用水は明治に入ってから玉川上水の北側にある分水口を統合してできた。市内のほとんどの用水路は新堀用水から分水されているから、新堀用水の水を止めると水が流れなくなる。新堀用水は玉川上水に沿うようにして流れている。私の住む地域の辺りは、深いまたは浅い大小二つの流れを眺めながら緑道を散策することができる。
水路を掘るとき土地が高くなっているところや、平らで水が流れにくいところは、人がやっと通るくらいのトンネルを掘った。このトンネルを「ほっこぬき」という。「掘りぬく」という意味。胎内掘りは「ほっこぬき」または「たぬき掘り」とも云う。小平市の胎内堀の場所にはト ンネル内の土を出すために掘られた縦穴が4ヶ所鉄柵で囲まれて残る。
保全工事は来年の1月の終了予定という。失って初めて気づくというが、水の流れない用水路はやはりわびしいものだ。とくに私の住む地域だけが台風がもたらした折れ枝が放置されているような気がする。保全工事が終わるまでにはまだ時間があるということなのか。年内には折れ枝の撤去が終わることを願う。