2日めは長崎県。九州新幹線は博多から鹿児島まで。「西九州新幹線」は2022年に開業し佐賀の武雄温泉が起点で、つぎの嬉野温泉から長崎へと向かう。博多から武雄温泉の間は特急「リレーかもめ」が結ぶ。この日から、ベテランのガイドさんが登場して案内してくれた。バスは嬉野市からトンネルを抜けて、大村湾沿いを長崎平和公園を目指す。公園広場では天を指す右手、水平に伸ばした左手の平和記念像に厳粛な気持ちになる。
浦上は長崎の北に位置する農村だった。最初の浦上天主堂は禁制解消後、信者が浦上に戻り1914年(大正3)に完成させたものだ。長崎には広島の原爆ドームのような原爆遺構はない。「浦上天主堂」の廃墟は取り壊され1959年に旧天主堂の外観を模して再建された。かつて正面双塔にはフランス製の「アンジェラスの鐘」が設置され交差するように鳴り響いていた。原爆後は残った一つの鐘だけが右手の鐘楼に戻されて、今でも時を告げている。
永井隆は長崎医科大学で放射線医師として勤務中に被爆し、重傷を負いながらも、被爆者の救護、原爆症の研究にあたる。随筆に「長崎の鐘」や「この子を残して」がある。その随筆は歌謡曲にもなり、映画化もされた。長崎の南の山手地区には幕末の開国後、1864年に竣工した「大浦天主堂」がある。日本に現存するキリスト教建築物としては最古で国宝に指定されている。宗教史上有名な「信徒発見」の舞台として、世界中にその名を轟かせた。
「グラバー園」は長崎に来住したイギリス商人グラバー、リンガー、オルトの旧邸や、市内に残っていた歴史的建造物を移築して出来た丘の上の公園である。長崎港を一望でき、対岸には稲佐山がある。その山からの夜景が素晴らしいと聞いた。この日の宿は、島原半島にある標高700mの「雲仙温泉」の「青雲荘」だ。開業して2年という新しさだ。源泉かけ流しの乳白色の湯に浸る。かすかな硫黄の匂いがした。雲仙温泉は古くから外国人避暑客向けのリゾート地として開発されたという。