ブンコというあだ名の子がいました。
その子が、自分からブンコと呼びかけるとき、相手は飼っている虻なのです。
手をひらひらさせながら、話しかけるのは見ても、餌をやっているところを見た人はいません。
その子は、虻と話をしているとき以外は、家では文庫本をいつも読んでいます。
そう、ファーブル昆虫記です。
国語の先生から勧められた最初の文庫本がこれでした。
たくさんある中から、いちばんはじめに手に触れて買ったのが、キンイロオサムシでした。
なかなかなじめない本でしたが、先生の教えは、観察力を養えということだったようです。