ラーメンもそばもうどんも、即席ものが「生」にだいぶ近づいてきました。
それを作る人たちの努力のおかげです。
おかげはもうひとつあって、それを欲しがった人たちなのです。
大勢の人が欲しがらなければ、ものはごくわずかしか世に出ません。
不思議なのは、欲しがっているものと出来上がるものが一致すると、いつまでも違うものが出来続けるということです。
即席ラーメンを好んで食べる人は、ラーメンを食べたいと望んでいるのではなく、別のものを欲しがっているのです。
別のものとは、便利と類似、「たすかる」と「そっくり」です。これがまた、パスカルとソクラテスに似た言葉ではないかと、似ても似つかぬことを思いつかせます。
即席ラーメンは、似ても似つかぬものから始まりました。
もしこれが、最初から「そっくり」だったら、人々の関心はそれほど集まらず、今のように売れるものにはならなかったかもしれません。「たすかる」だけの望みでは、売れ行きを手伝っていた「もっと、もっと」が、ここまでにはならなかったでしょう。
奥様方は、外に出れば「そっくり」を望み、家では「たすかる」を尊重します。
昼はあこがれのスターそっくりのつもりでおめかし、途中で美容院に寄ってさらにおめかし、メニュも見ずにお好みの食べ物が運ばれてくるところに行き、そこでまたそっくり談義に花を咲かせ、あとはぶらぶら歩き、風が冷たくなってくればお帰りです。
お帰りになってからは、「たすかる」さんに乗り換えて、テーブルに出すのは即席ラーメン。いろどりはコンビニのおでん、から揚げ、サラダ。
これで日本の食産業は万々歳、TPPなど、どこ吹く風というわけです。
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