企業に「育成力」がなくなってきたという説がある。
成果主義のおかげで課題処理は巧みになったが、人を育てることが忘れられているという。
もうひとつおろそかになっているのは判断力だろう。
ある大都市の地震の被害想定で、3263人の死者が出るとの報道があった。
3千人の大台さえ怪しいと思うのだが、それに263人という端数までついている。
コンピューターの正確無比な計算結果を、そのまま被害想定値とするのもどうかしているが、発表を示された数値を丸めることにも考えが及ばないメディアのほうも、こんなことで大丈夫なのかと心配になる。
計算条件をいくつも当てはめて、ある組み合わせ条件の場合にはこうなるという、コンピューターの答であるのはわかっているが、コンピューターで正確に計算した結果は、みな本当の答えであると思ってしまっては、妄信というほかない。
ここでいささか本当らしい答えとしては、「3000人を超える死者が出る」ぐらいのところなのだが。
一桁の数値まで示さなければ、世の多くの人に、まじめに考えていると思ってもらえないというご配慮なのだろうか。
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