映画『テルミン』のDVDを観た。テルミンとは、世界で最初に発明された電子楽器。ビーチ・ボーイズの「Good Vibrations」でヴォーカルやメイン楽器の間を縫う旋律で飄々とおどけてみせ、主旋律を食うかのような存在感を示しているのがテルミンである。映画は、発明者であるテルミン博士本人や、テルミンの名演奏家クララ・ロックモア、シンセサイザー開発者として名高いロバート・モーグ、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン等が登場するドキュメンタリーになっている。
私がテルミンに関して知っていることと言えば、まるでオーケストラの指揮でもするかのような身振りで楽器の前に手をかざすその奏法と、レコードに録音された音だけ。テルミンについて、少しは歴史的なことを知れるかな…くらいの気持ちで、それほど期待しないで借りたDVDだが、これは思いのほか大当たりだった。
アメリカに渡って日夜電子楽器の開発にいそしんでいた博士が、出身である旧ソ連に拉致されて軍事技術の開発に従事させられたいきさつが、インタヴュー構成で語られる。これにクララ等の演奏や、テルミンがBGMとして効果的に使われた映画シーンが所々で差し挟まれ、映画は進んでいく。
国家の政治的な思惑に翻弄された博士の劇的な生涯に固唾を呑みながらも、途中 ヴァイオリンのような音色を聴かせるクララの格調高い演奏にうっとりし、また テルミンが絶妙に用いられた恐怖映画には不謹慎にも例外なく声を立てて笑ってしまった。
ミュージック・フィルムとしても興味深いし、エンターテインメントものとしても非常にレベルが高く、単なる伝記映画とはきっぱりと一線を画している。一粒で2度、3度おいしいとは、こういう作品を言うのではないだろうか。お近くでこの映画を借りられる場所があれば、是非にとお薦めしたい一本である。
私がテルミンに関して知っていることと言えば、まるでオーケストラの指揮でもするかのような身振りで楽器の前に手をかざすその奏法と、レコードに録音された音だけ。テルミンについて、少しは歴史的なことを知れるかな…くらいの気持ちで、それほど期待しないで借りたDVDだが、これは思いのほか大当たりだった。
アメリカに渡って日夜電子楽器の開発にいそしんでいた博士が、出身である旧ソ連に拉致されて軍事技術の開発に従事させられたいきさつが、インタヴュー構成で語られる。これにクララ等の演奏や、テルミンがBGMとして効果的に使われた映画シーンが所々で差し挟まれ、映画は進んでいく。
国家の政治的な思惑に翻弄された博士の劇的な生涯に固唾を呑みながらも、途中 ヴァイオリンのような音色を聴かせるクララの格調高い演奏にうっとりし、また テルミンが絶妙に用いられた恐怖映画には不謹慎にも例外なく声を立てて笑ってしまった。
ミュージック・フィルムとしても興味深いし、エンターテインメントものとしても非常にレベルが高く、単なる伝記映画とはきっぱりと一線を画している。一粒で2度、3度おいしいとは、こういう作品を言うのではないだろうか。お近くでこの映画を借りられる場所があれば、是非にとお薦めしたい一本である。