日本では新学期が始まり、被災地でも入学式が行われたという記事を読むと、(そういえばそうだったな)と気がつくが、こちらは『3月の続きで4月』と、あっさりしたものだ。清明節が3日ぐらいあったところで、普段から私は週末3日間休みなので、そう浮き浮きすることもない。
それでも嬉しいのは、もう冬に戻らないことが実感できるこの暖かさだ。部屋にいるのに外にいるのと変わらないような、骨まで沁みる寒さは、人間としての権利が保障されていない気持ちになる。南昌で暮らす一番の困難は冬の寒さだと言えよう。
その冬は行きつ戻りつで、なかなかあっさりと去ってくれなかったのだが、4月も第一週を過ぎて、いくら何でも、もう大丈夫だと安心できるようになった。それでも、おとといの夜の学生からのメールには、寮の部屋が冷え込むので、膝が痛いと書いてあった。私は電気ストーブで足下の暖を取れるが、火気厳禁の寮では、4人の若者の身体から発する熱で部屋を温めるのが精一杯だ。今日の授業は、病気理由の欠席が目立った。鼻声の子も何人もいた。季節の変わり目で、体調を崩す子が増えてきている。
昼間は部屋よりも外の方がずっと暖かいので、麦廬園キャンパスの資料室でも、寒くなったら外に出て日向ぼっこをするようにしている。数日前から気になっているのは、キャンパスの楠の葉が枯れてバラバラと散ってきていることだ。今日、朝7時40分に資料室前の道では、清掃係の黄色い服を着た50代~60代ぐらいの男性が、大きなほうきでザアザアと枯葉を集めていた。特大リヤカーの中のゴミ入れ容器は、枯葉で満タンだ。
晩秋にはキャンパス内のほぼ全ての木の幹部分に白い石灰みたいなものを塗り、防虫対策には抜かりがなかったはずだ。3年生の陳さんに聞くと、「水遣りが足りないのでは?」とのこと。しょっちゅう雨が降っているような気がするのだが…。
今夕は理工大学で日本語コーナーだ。5時40分に南門集合と授業で言い、自分も1分前に行くと、まだ3人しか来ていない。ただちに切れかけて「こういうことなら、日本語コーナーは止めます。君たちがやりたいと言うから始めたんじゃないか!」と怒っていたら、三々五々人数が増えて、50分まで待つと、総勢16人になった。とにかく時間にルーズなのだ。
こういうとき3年生は、「先生、中国の約束時間は日本とは違いますから。」となだめ役に徹する。私も16人来たら、まあいいかと気を取り直して広い道の端の草地を歩いて理工大学へ向かった。途中、広い車道の端を歩く学生や、だらだら広がって歩く学生たちが気になってしかたがない。小学校での校外活動の引率癖が骨身に沁みついているからだ。相手はもう立派な大人なのに…。
理工大学は、大きく成長した木々が、キャンパスに風格を与えている。若くて細々とした木が目立つ麦廬園とはかなり違う。こぢんまりとまとまっているのも、日本の大学キャンパスのようで落ち着く。財大の子たちも「この大学、いいですね~。花がきれいですね~。」とキョロキョロしている。猫までいるので「ああ、いいなあ。理工大には猫がいるよ。」と私が言うと、陳さんが「先生、財大にだって、野良犬や鼠がたくさんいます。生き物では負けません。」と張り合っていた。
それでも嬉しいのは、もう冬に戻らないことが実感できるこの暖かさだ。部屋にいるのに外にいるのと変わらないような、骨まで沁みる寒さは、人間としての権利が保障されていない気持ちになる。南昌で暮らす一番の困難は冬の寒さだと言えよう。
その冬は行きつ戻りつで、なかなかあっさりと去ってくれなかったのだが、4月も第一週を過ぎて、いくら何でも、もう大丈夫だと安心できるようになった。それでも、おとといの夜の学生からのメールには、寮の部屋が冷え込むので、膝が痛いと書いてあった。私は電気ストーブで足下の暖を取れるが、火気厳禁の寮では、4人の若者の身体から発する熱で部屋を温めるのが精一杯だ。今日の授業は、病気理由の欠席が目立った。鼻声の子も何人もいた。季節の変わり目で、体調を崩す子が増えてきている。
昼間は部屋よりも外の方がずっと暖かいので、麦廬園キャンパスの資料室でも、寒くなったら外に出て日向ぼっこをするようにしている。数日前から気になっているのは、キャンパスの楠の葉が枯れてバラバラと散ってきていることだ。今日、朝7時40分に資料室前の道では、清掃係の黄色い服を着た50代~60代ぐらいの男性が、大きなほうきでザアザアと枯葉を集めていた。特大リヤカーの中のゴミ入れ容器は、枯葉で満タンだ。
晩秋にはキャンパス内のほぼ全ての木の幹部分に白い石灰みたいなものを塗り、防虫対策には抜かりがなかったはずだ。3年生の陳さんに聞くと、「水遣りが足りないのでは?」とのこと。しょっちゅう雨が降っているような気がするのだが…。
今夕は理工大学で日本語コーナーだ。5時40分に南門集合と授業で言い、自分も1分前に行くと、まだ3人しか来ていない。ただちに切れかけて「こういうことなら、日本語コーナーは止めます。君たちがやりたいと言うから始めたんじゃないか!」と怒っていたら、三々五々人数が増えて、50分まで待つと、総勢16人になった。とにかく時間にルーズなのだ。
こういうとき3年生は、「先生、中国の約束時間は日本とは違いますから。」となだめ役に徹する。私も16人来たら、まあいいかと気を取り直して広い道の端の草地を歩いて理工大学へ向かった。途中、広い車道の端を歩く学生や、だらだら広がって歩く学生たちが気になってしかたがない。小学校での校外活動の引率癖が骨身に沁みついているからだ。相手はもう立派な大人なのに…。
理工大学は、大きく成長した木々が、キャンパスに風格を与えている。若くて細々とした木が目立つ麦廬園とはかなり違う。こぢんまりとまとまっているのも、日本の大学キャンパスのようで落ち着く。財大の子たちも「この大学、いいですね~。花がきれいですね~。」とキョロキョロしている。猫までいるので「ああ、いいなあ。理工大には猫がいるよ。」と私が言うと、陳さんが「先生、財大にだって、野良犬や鼠がたくさんいます。生き物では負けません。」と張り合っていた。