毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「大阪女子の心意気」2014年1月10日(金)No.836

2014-01-10 11:35:19 | 日記



7年続く任意団体「帰国者の友」にはいろんな人が集っているが、
その中の一人に、吉田智里さんがいる。
私から見れば本当に可憐な女子である。
そんな若者が、「掃き溜めに鶴」と言ってはナンボ何でもへりくだり過ぎだが、
我々超熟成おばさんたちの中にスタッフの一人として普通に居るので、
それがまた「帰国者の友」の多様な豊かさを保障しているのであ~る。
鶴がお友達の鶴を呼んでもくれる。
ありがたい。

今日、十三のミスド(「ミスター・ドーナツ」の省略形)で智里さんとお喋りした。
実は、彼女はボランティア活動の達人なのだ。
夏休み、「関西きんじょすくいの会」スタッフとして
琵琶湖湖畔に福島・宮城の子どもたちを招き
放射能の恐怖から解放されたところで、
のんびり泳いだり、野染めしたり、昆虫採集したりする
「元気いっぱい琵琶湖キャンプ」活動を、3年間(計4回)続けている。
東北被災地ボランティアに行った際、そこで知り合った人たちが
「きんじょすくいの会」を組織して活動していたことに感銘を受け、
その関西版をこさえた人のところに馳せ参じたのだという。

スゴイのはその知り合い力であり、やってしまう力である。
東北にボランティアに行って、手ぶらで帰って来ない。
関西に戻ったら戻ったで、次の知り合いを見つけ、
何とか、子どもたちが夏休みの1週間でも、のびのびと
放射能の心配をしなくてもいいところで過ごさせてあげたいと、
活動する人と行動を共にする。
ないお金(失礼!)と、あとは智慧と力を出し合って、
全部、自分たちでやってしまうのである。
(これは「帰国者の友」も全く同じ)

智里さんは最近、西淀川区に引っ越した。
NPO法人「西淀川子どもセンター」事務局のスタッフとして働いている。
と言っても食べていくことは不可能なので、
アルバイトしながらの活動だという。
現在、夜間、大人不在で過ごしがちな地域の子どもたち(小・中学生)と、
夕食を一緒に作って食べたりしながら
話し相手や学習支援を実施するプロジェクトに取り掛かっている。
CAP(子どもへの暴力防止)活動を多くの学校に出かけて行っているのも、
この団体であるという。
そう言えば、私が以前働いていた西淀川区の小学校にもCAPが来てくれたことがある。
この団体だったのか~。

なぜこうしたボランティア活動をするのかというと、
社会の中でのびのびと成長できず、助けを必要とする子どもたちがいるからだ。
数年前に、親に虐待されて亡くなった子も西淀川区の小学生だった。
NPO法人を立ち上げた人たちも、地元の子どもたちの現実を見て、
手をこまねいていてはいけない、という気持ちだったのだろう。
(西淀川区が特別にそうした地域なのではない。
こうした現実がどこにでもあるのが、今の大阪である)

智里さんは、学生時代からYWCA国際部を始め、
様々なボランティア活動に参加していたが、
昨年春、それまで働いていたところを辞めて以来、
アルバイト以外の自分の全時間をボランティア活動に傾けている。
「お金の心配とかしないの?」
と聞くと、
「お金のことは確かにありますけど、でも、じっくり考えて、
人に使われて暮らすのは私の性に合っていないなと思って…。
私の人生の時間は私が使おう、私が自分を雇う社長になろうと決めたんです。」

不景気という割に中国の庶民の何倍も贅沢な暮らしをしながら、
目先の株価の上下で汲汲とする人々の多い日本社会の空気だが、
この言葉はさらりとした清風を私の胸に吹き込んでてくれた。

それでも(だからこそ)、一言せざるを得ないことがある。
こうしたボランティア活動の多くは、
国や自治体が為すべき仕事だ、ということである。
「社会制度化されるまで、不自由はお互い補い合って頑張っていこうね」
という庶民の健気な思いの表現としてのボランティア活動は、昨今、
「自力でできることを政治に依存するな」
という政治家の言葉に簡単にすり替えられている。
彼女が活動している「西淀川子どもセンタ―」には市の助成金は1円もない。
私は腹立たしかった。
彼女の収入源はNPOの会計からや助成金からち
ょこっとだけお金が出る場合もあるが、基本的にヘルパーのバイトで賄っている。

生活費を切り詰めて手弁当で活動するボランティアの活動を当然だと言う大阪市の姿勢、
そのトップに立つ市長を
「カワイイ~!お肌すべすべしてる~!」
とか言って支持する多くの大阪市民たち。
この悪夢のサイクルから、いつになったら抜け出すことができるのだろうか。
子どもを家において夜遅くまで働いている親たちも、あの市長を支持しているのだろうか。

智里さんも「本当は、市がやって当たり前のことです。」と言いつつ、
いたたまれず子どもたちのためにほぼ無償で働いている。
こうした人たちに甘え過ぎているのが今の日本の政治であり、社会だと思うんだけど、
違うだろうか。
   (2014年1月9日記)

〈付録〉
ミスドは阪急十三駅東口・西口の両方にある。
私は確かめもせずに違う方でのんびりと、
駅前を通る人たちのうち何割がマスクを着用しているかとか数えていて、
20分ぐらいしてからハッと気が付き、
まだ食べていなかったカスタードクリームパンを紙ナプキンに包んで
脱兎のごとくその店を去ったのである。
写真は間違って入った東口店から見た十三駅前。


全部で¥400弱だったかな?







コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする