「Who likes Israel?」(誰かイスラエルが好きな人なんかいますか〈いや、いません〉)
これは、大阪の英会話教室でアメリカから来ていたユダヤ人の先生が言った言葉です。
中国に行く前なので15年ほど前のことです。
私はユダヤ人(=ユダヤ教を信仰する人)だというその先生に気を使って、
イスラエルの悪口もパレスチナ人のナクバやインティファーダのことも言いませんでしたが、
何かのきっかけで「先生はイスラエルに住みたいと思いますか」と聞いたところ、
その答えが冒頭の言葉でした。
それまで私はユダヤ人は全員ユダヤ国家のイスラエルを支持していると
ステレオタイプにも程がある考えを持っていたので、目から鱗でした。
これを思いだしたのは、
今回のイスラエルによるパレスチナ人大虐殺に対して
10月28日、アメリカのユダヤ系団体がニューヨークのグランドセントラル駅に集合し、
死者を悼み、即時停戦のために決起したことによります。
アメリカのみならず、世界各地でガザ停戦を要求するデモが行われていますが、
11月4日ロンドン5万人のデモの中にいたイスラエル出身の77歳の男性は
「私はユダヤ人で、両親はアウシュビッツ強制収容所から生還した。
だから、ホロコーストが何かを知っている。イスラエルは、
『10月7日にユダヤ人に起こったことはホロコーストのようだ』と主張しているが
これはユダヤ人に対する大量虐殺と同じものではない。
私は1人の民間人の殺害も支持していない」と、即時停戦を訴えたそうです。
このことはつまり、イスラエルとパレスチナの対立は宗教が理由ではなく、
あくまでも領土問題だということです。
日本では、宗教対立は理解できないので口を挟めないという声もありますが、
紛争の核心は下の地図を見れば一目瞭然です。
軒を貸して母屋を取られたのはパレスチナ人であり、乗っ取ったのはイスラエルです。
・紫色がパレスチナ人の居住地域、白色がユダヤ人移植地。
・国連のパレスチナ・イスラエル分割案は左から2つ目。
・国際法に違反してイスラエルはグイグイ入植を進め、遂に右端のような有様に
(ガザは赤丸部分)。
イスラエルは国際法に違反しまくる無法者国家以外の何物でもありません。
それを強力に後押しするバイデン大統領も世論の声の大きさを前に
軌道修正を余儀なくされています。世論形成が大切である所以です。
日本の世論はまだまだですけど。