今朝、蛇口から出る水が手に少し温かく、
水ぬるむ春が来たんだと思った。
この冬、私は例年になく暖房器具を極力使わずに過ごした。
昨夏、扇風機以外の器具を使わず暑さを凌ぐ実験をしたので、
その続きとして寒さも我慢しようと思ったのだ。
例外として、室内に退避させた植物たちのために
室温が10℃未満の時だけガスファンヒーターを付け、
12℃になったら止めた。そんな日が10日ほどあったと思う。
住まいが近畿地方であること、
今年が暖冬だったこと、
部屋でも外と変わらない装束を纏っていたことなどで
夏よりずっと耐え易かった。
←寒い日の室内での装い
思えば中国に行ったばかりの冬、現地の学生や先生方が
部屋でもジャケットを脱がないことにかなり違和感があったが、
今冬の室内の私の姿を見たらその中国の人々も呆れただろう。
暖気のない部屋は、
子どもの頃の北海道の薪ストーブの家の中や、
母が私たち子どもをストーブの傍に立たせて、
何枚も何枚も下着から上着まで丁寧に着せていたことなどを
思い出させて懐かしかった。
また、暖房を断つことで、寒さに震えるガザや能登の人たちに
ほんの少しだけでも近づけるような気がした(所詮安全に保護された室内だが)。
部屋にいる人間は私だけだが、
植物や虫たちが同じ部屋、同じ室温でともに時を過ごしてきた。
私が特に気になっていたのはツヤアオカメムシだ。
⤵昨年11月、裏庭で見つけたときのもの。少なくとも二匹居た。
寒くなり、気がつけばカメムシも一匹、草木とともに部屋に移動していた。
⤵室内が16℃以上になったとき、植木の間をウロチョロ散策するツヤアオカメムシ。
⤵室温が10℃~12℃で推移した12月から今まで、カメムシは一か所でじっとして微動だにしなかった。
⤵二月に入り、ぽかぽかと暖かい日に外で日向ぼっこさせた。
生きているかどうか確かめたくて、
私がふうっと息を吐きかけると、触覚がピクピク動いた!
⤵今日2月21日も、カメムシは木立ベゴニアの一枚の葉に張り付いている。
カメムシに張り付かれている方の葉は
冬でも少し、また少しと大きくなり、色も濃くなってきた。
春になったら
カメムシはまたブーンと羽音をたてて飛ぶだろうか。