一昨年来、息子の店で友人たちと月に一度読書会をしてきました。
息子に代わってメニュー作成、大量の調理、お金稼ぎだけで24時間が過ぎていた日々、
この会の時間は私にとって格別のものでした。
今、自由時間が増えて晴耕雨読が可能になり、
(なんだ、いいぞ。しばらくはこのまま続いてくれよ)
と何にとはなく呟きながら読書を楽しんでいます。
その会では、毎回気になる本なり、人物なりを共通テーマに選び、
それぞれが自分の興味の赴くままに調べて発表し、
それに対してみんなで好き勝手に意見や感想を述べるのです。
私たちは間にお気に入りの絵本や歌の紹介なども挿み、
蛇行しながら古代、平安、鎌倉を経て明治までたどり着きました。
先月は森鴎外、今月は夏目漱石の作品や人、時代がテーマでした。
実は、私は以前から森鴎外の作品が好きです。
『渋江抽斎』を読みながら、
幕末に家門の長男として生まれ、エリートとして生きざるを得なかった鴎外の人生を想い、
子どもたちのために書いたのであろう
『寒山拾得』『山椒大夫』『ヰタ・セクスアリス』を読みながら、
(子どもたちを大切に思っていたんだろうな)と想像するのは楽しいものでした。
一方、夏目漱石は
『吾輩は猫である』『坊っちゃん』はアニメや子ども向けダイジェスト版にもなっています。
私も子どもの頃、町の小さい本屋(神田書店、まだあるかな)で買った『わが猫』を読んで
いたく面白く感じ、
次の『坊っちゃん』を目指して6㎞の道のりを自転車を漕いで町まで行ったほどです。
その意味で確かに漱石は、子どもにも読まれる「国民的作家」だったのでしょう。
しかし、今回、それ以外の作品を読んで人生で初めて漱石に向かった私は、
あまりの落差を受け止めるのに一週間以上悶々としました。
〈つづく(笑)〉
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