韓国におけるＮＨＫ事情

　韓国駐在時代，私たち家族はＮＨＫの衛星放送にお世話になっていました。自分のアンテナで見たり、マンションの集合アンテナから無料で配信されるのを見たり、ＣＡＴＶで見たり。

　でもこれ、ＮＨＫの立場からすると不法傍受なんですね。私自身は受信料を払っていなかったし，韓国のＣＡＴＶもＮＨＫにお金を払っていなかった。

　たまたまＮＨＫにいた大学の友人がソウル駐在になって，彼に聞いたところによれば，
「ＮＨＫの側でも韓国からお金をもらいたくない。お金をとるなら韓国の視聴者を意識した番組作りをするべきであって、それをしていないのだから，お金をもらうわけにいかない」
と正論を吐く。つまり、「見てほしくない」ということ。

　ＮＨＫによるたびたびの抗議が奏功したのか、ある時期，韓国のＣＡＴＶにおける外国放送の横流しが制限されました。外国放送は５種類まで。ＣＮＮとかスターチャンネルとかＮＨＫ以外にも需要のある放送があるため，二つあるＮＨＫ衛星放送のうちどちらか一つの放送を打ち切るＣＡＴＶが続出。在韓日本人は大いに迷惑しました。

　うちもあわてて昔使っていたアンテナを再設置（ほどなく故障したが）。でも、ほとぼりが冷めたころに各社、さりげなく放送を再開してました。

　もっと迷惑なのがＮＨＫプレミアムの登場。
　ＮＨＫが外国在住日本人のために特別に作った放送です。在韓日本人はすべからくこれを見ろ，と。しかしこれ、すごく頭に来るんですね。日本のニュースを再放送してくれるのですが

「今日のイチロー選手は…」

というニュースが始まったとたん、お花の画面に切り替わって

「放送権の都合でご覧になれません」

　イチローの２６２安打の大記録を音声だけで想像しなければならない。

　ふざけるな！　

　幸い，その後で引っ越したマンションもレジデンスも，不法傍受をしてくれていて，プレミアムも第一も第二も全部入ったので、昨年のワールドカップ観戦にもまったく支障ありませんでした。

　そういや，日本に帰ってから，ＮＨＫの受信料，払ってないなあ。徴収しにくれば払うのにやぶさかではないのですが，わざわざ申し出ることもないし…。