犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

打字機(タジャギ=タイプライター)

2007-09-23 01:18:11 | 韓国の漢字語
 野球用語は日本から入ったので,日韓共通の漢字語が多いことは,以前書いたことがあります(→リンク)。

 投手,捕手,打者,走者…。みな共通です。

 このうち,「打者」は韓国語で「タジャ」。これは,「打字」と同音異義語です。
 日本では使わない漢字語ですが,これは文字通り「字を打つ」こと。「字を打つ機械」は「打字機」(タジャギ),タイプライターのことです。
 今やタイプライターはパソコンにとってかわられ,博物館に行かなければ見られないというのは,日本も韓国も同じ。ただ,その名残りは言葉の中に残っています。


 韓国語で,文書作成での誤字を「オタ(誤打)」と言うのがそれです。

 日本語では何だろう。入力ミス? 誤植? ミスタイプ? 変換ミス?
 少なくとも「ゴダ(誤打)」とは言わないでしょう。「打ちミス」とは言うかな。

 まだコンピューターがなく,文書作成に「打字機」を使っていた時代に生まれたものでしょうが,タイプライターが使われなくなったあとも,この言葉だけは生き残ったようです。

 これはちょうど,日本で活版(活字組版)が写植(写真植字),さらにはDTPにとってかわられ,「植字(ショクジ/チョクジ)」作業自体が無くなったのに,「誤植」という言葉だけは生き残ったようなものです。


 さて,韓国で打字機はいつまで使われていたのでしょうか。


 私が韓国関連の仕事を始めた90年代初め,打字機で作成されたと思しき印刷物を見たことはありますが,機械そのものは見たことがない。
 たぶん,90年代に入って,パソコンの普及とともに姿を消したのでしょう。

 そういえば,パソコンの普及は,日本よりも韓国のほうが早かったような気がします。

 まだインターネットがない時代,パソコンの二大用途は文書作成ゲーム。しかし,日本では文書作成には「ワープロ」が,ゲームには「ファミコン」という専用機器が広く普及したため,パソコンはもっぱらビジネスユースと一部マニア向けに限られた。
 その点,韓国では,専用ワープロが発達しなかった。
 私が韓国に赴任した11年前,社内にハングルワープロが一台ありましたが,使い勝手が悪いということで,ほこりをかぶっていました。当時すでに文書作成はパソコンが主流でした。

 一方,初代ファミコンも韓国には普及しなかった(輸入されなかった?)ようです。韓国で日本のゲーム機が広がったのはゲームボーイ以後ですね。

 つまり,韓国では早い時期から,文書作成もゲームも主にパソコンでやった。それでパソコンの普及が日本より早かったのだと思います。

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