犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

巡礼と棄教

2017-11-26 22:55:41 | 大阪暮らし

 ネットで検索すると、私が住んでいる新大阪に、インドネシア料理の店があることがわかりました。

 ドトールコーヒーでのインドネシア語のレッスンが終わり、インドネシア語の先生といっしょに行ってみました。

 女性二人がやっている、ちょっとおしゃれなカフェ。ところが、メニューを見てもインドネシアっぽくない。

「ここ、インドネシア料理の店ですよね」

「いえ。前はそういうメニューが少しありましたが…」


「あっ、そうなんですか」


 でも、いろいろな創作料理がおいしそうだったので、ここで夕食をとることにしました。

「お酒は飲むんでしたっけ?」

 先生に尋ねると、

「飲みます」

という答え。

 ワイン3種飲み比べ600円というのを頼みました。

「なんでインドネシア料理をやめちゃったんですか?」

「ああ、いろいろ材料がめんどくさくて。前の店主が好きで、一生懸命作っていましたけど。前の店主って実は私の別れた旦那なんですけどね」


 なんか、まずいことを聞いてしまったような。離婚の原因はなんだったんだろうなどといろいろ想像してしまいましたが、もちろんそれは聞きませんでした。

 メニューには、何の肉が使ってあるのか、動物の小さな似顔絵で表示されています。インドネシア料理を出していたときの名残でしょうか。

「豚肉はだめですよね?」

「いえ、大丈夫なんです。実は昨日も食べました」


「えっ? そうなんですか」


「私、イスラム教徒やめたんです」


「……。そんな人もいるんですか」


「多くはないですけれど。インドネシアではそのことは言いません。変人に思われるから」


「この前知り合ったインドネシアの女性にメールをしたんです。そしたら、「今空港で、これからインドネシアとメッカに行く」という返事が来ました」


「メッカは私も行きましたよ。高校生のとき、父といっしょに」


「そのときはまだムスリムだったんですね」


「ええ」


 彼女がどうしてイスラム教を棄てたのか、その日は聞けませんでしたが、いずれ聞いてみようと思います。少し前にテレビのドキュメンタリーで、サウジアラビアやアフガニスタンでいかに女性の人権が侵害されているかを扱った番組を見ました。何かそのあたりが関係しているのかもしれません。

 メッカに巡礼に行く女性がいるかと思えば、棄教する女性もいる。

 無宗教の私には想像の及ばない世界がありそうです。


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