図版:パラオの国旗
日本語圏という言葉はほとんど聞いたことがありませんが、かつては日本語圏も存在しました。
1945年以前、日本は台湾と韓国を植民地支配していました。日本語を「国語」として強制し、義務教育の教授言語(授業で使う言語)を日本語にしたため、日本語が普及しました。
しかし、1945年に日本が敗戦し、植民地が「解放」されると、日本語は駆逐されました。
35年間支配した韓国に比べ、台湾は50年間支配したので、日本語の普及率が高かった。
しかし、太平洋戦争後、中国大陸で共産党に敗れた国民党が台湾に逃げてきて、台湾を支配することになり、中国語(北京語)を「国語」としました。台湾では、日本語が強制される以前に、台湾語(福建語)が話されていましたが、それが北京語という国語に置き換わったのです。
今、台湾の本省人(1945年以前から台湾に住んでいる人)は台湾語を母語とし、中国語(北京語)を「国語」として学んでいます。
韓国では、日本語は浄化対象として追放されましたが、その過程で日本で作られた和製漢語がそのまま韓国語に採り入れられ、語彙面での共通性がきわめて高くなっています。
では、日本語圏は完全に消滅したのか?
実は、まだあるんですね。
南太平洋のパラオには、日本語を公用語とする州が残っているそうです。
パラオは、1919年に日本が第一次世界大戦に勝利し、「委任統治領」にしました。そして終戦まで日本語で教育をしていたのです。
そこで日本語を教えていたのが、「山月記」「文字禍」などで有名な作家、中島敦です。
パラオは今も親日国で、国旗も日本にそっくりです。
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