犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

さくらメウンタン

2008-06-19 00:03:11 | 思い出
 心斎橋で馬肉を食しながら,私の脳裏に蘇ってきたのは…

 以前,韓国人といっしょに九州を旅行したときのことを書いたことがあります(→リンク)。

 そのときのエピソード。

 熊本でのランチ。
 熊本の名物は馬肉ということで,さくらしゃぶしゃぶを用意しました。しかし,気持ち悪がる人も多いと予想されたので,テーブルの半分は普通の牛肉のしゃぶしゃぶ,半分は馬肉のしゃぶしゃぶにして,好みで選べるようにしました。

 案の定,牛肉席のほうから埋まる。少し遅れてきて馬肉になってしまった人の中には露骨に嫌な顔をする人もいました。

 韓国に馬肉を食べる習慣はありません。韓国人にとっての馬肉は,日本人にとっての犬肉と同じような気持ち悪さを感じさせるようです。でも,実際に食べてみれば,牛肉と馬肉,大した差はない。結局,みなさんそれほど抵抗なく食べていました。

 しゃぶしゃぶの鍋は4人で一つ。

 私のテーブルは「馬」でした。鍋のだしが沸騰すると,同じテーブルの韓国人は肉と野菜をどんどん投入する。

(おいおい,しゃぶしゃぶっていうのは…)

 引き止める余裕もなく,すべての材料が鍋に収まりました。

 そして,件の韓国人,なにやら自分の鞄の中を探っている。

 取りいだしたるは…。


マイ・コチュジャン! 


 チューブ入りのコチュジャン(唐辛子味噌)は,旅行をする韓国人の必需品です。そのコチュジャンをぶにゅっと鍋の中に絞り入れる。鍋はみるみる真っ赤に変色。それをぐじゃぐじゃとかき回す。

(……)

 熊本名物さくらシャブシャブは,さくらメウンタン(辛味噌鍋)に様変わりしてしまいました。

「マシインネヨ」(おいしいわね)

 韓国人たちは満足げに真っ赤な鍋をつつきます。見回すと,あちらこちらで同じような惨劇が現出していました。

(とほほ…)

 このときは,謝恩行事で韓国人を日本に招待したツアー。お客様は韓国の方々なのだし,みんなが満足するならそれでいいか,と,私もいっしょになって,真っ赤な鍋をつついたのでした。

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