図版:2023年EPI英語能力指数ランキング(日本は113か国中87位)
D(三女の夫、フィリピン人)は、公立中学校でALT(英語補助教師)をしています。
英語の授業とは別に、月に1回、同じ教育委員会管轄のALTが集まって、ミーティングをするそうです。
DはALTになって1年以上がたち、DのあとにALTになった後輩もいるそうです。
ミーティングで、「ALTの存在意義は何か」が話題になったそうです。もっともベテランで、ALTのリーダーをしているイギリス人が、
「自分は20年間、ALTをやっているが、今でもわからない」
と言ったそうです。
ALTは「補助教員」ですから、授業は常に「正教員」の日本人教師といっしょ。授業中は、ALTは日本語禁止。常に英語でしゃべることが求められます。
ときどき、日本人教師の指示のもと、「ネイティブの発音」を披露したり、生徒たちとの授業で習った文法や単語を使った「会話」をしたりする。
中間・期末試験の時は、登校しても授業がないので仕事がない。テストの採点はしない(できない)。
日本人教師が休むと、英語の授業は休講になり、一人で授業を任されるということはない…。
ALTは日本の教員免許を持っているわけではありませんから、授業を任されないのは、ある意味当然かもしれません。
「このままだと、いずれALTは必要なくなるんじゃないでしょうか」
「なんで?」
「だって日本人教師の英語力がもっと上がれば…」
「それはないよ。ぼくが中学生のときも英語教師の英語は下手だったし、今も下手。50年後も下手なままでしょう」
「なんで上達しないんですか」
「日本では英語が必要ないからね。使わなければうまくならないよ」
フィリピンの国語はフィリピノ語(主要民族の母語であるタガログ語を少し改良したもの)。
しかし、フィリピノ語には学術語が整備されていないので、小学校の間はなんとかなるにしても、中等教育以後はフィリピノ語で行うことができません。そのため、中等学校以後の教育は、教科書も、教授言語(授業で説明に使う言語)も英語になる。
高等教育に進むためには、英語が出来なければならないので、あるレベル以上のフィリピン人は、英語がネイティブ並みに上手になるわけです。(ただし、首都マニラのあたりの人々の英語の発音は、アメリカ以前の支配者だったスペインの影響で、スペイン語なまりがあるそうですが…)
※フィリピンは20位
「ぼくはALTの仕事が好きなので、長く続けたいんですけど」
「心配ないと思うよ」
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