犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ブラジル便り~シュラスコ

2008-08-15 23:41:14 | その他諸国便り
 初めての週末。

 駐在員の案内で,サンパウロ市内をうろつきました。ホテルの最寄りの駅から地下鉄に乗って旧市街(セントロ)へ。

 サンパウロは地下鉄が何路線かあり,色で区別されています。運賃は距離に関係なく2.4レアル(160円ぐらい)。キップは入場券のようなもので,自動改札に投入するとそのまま機械に吸い込まれて出てこない。出るときはキップなしに出られます。慣れないうちは,出口でついポケットをまさぐってしまいます。

 旧市街は,日本人(や日系人)はあまり行かない一画だそうで,夜は少し危険。ただ賑やかな昼間はそんなに心配することはないそうです。

 駅を降りると,駅前の広場に何軒かの屋台が出ている。「YAKISSOBA」,「TEMPURA」といった,なじみのある単語が並んでいます。最近,日本風のファストフードが人気だそうです。ただ,中身は似て非なるもの。

 ヤキソバはチャジャンミョンのような太めの麺。日本で言えば長崎チャンポンの麺が近いかも。「焼きそば」とはいうものの,実態は餡掛け麺のような感じ。

「テンプーラ」がすごい。直径30センチぐらいのお好み焼き大の巨大かき揚げです。それを紙にはさんで,手に持って食べる。天つゆをつけている様子はないので,たぶん塩味がついているのでしょう。天麩羅は戦国時代にキリスト教宣教師によってもたらされたものが起源で,語源はポルトガル語というのが通説です。450年を経て,ブラジル・ポルトガル語の中に逆輸入されました。

 私は,「パステル」という名のブラジルのファストフードにしました。クレープのような小麦粉(?)の皮でいろいろなものを包んで揚げたもの。「挽き肉」を注文しましたが,中身はハムの細切れでした。味は塩味。ブラジルの食べ物の基本は「塩」です。

 案内してくれた人の趣味で,ロックギャラリーに向かいます。

 建物の外壁に描かれている文字は落書きなのか,デザインなのかよくわかりません。韓国でいえば,世運商街(セウンサンガ)のような,古びた薄汚い雑居ビルに入っていきます。中は,小さなお店が密集しています。その多くは,ロックファッション系のTシャツ,アクセサリー,CDなどを売っている店。中にはタトゥーの道具を売っている店もあり,その隣のスペースでは実際にタトゥーを彫ってもらっている人がいる。モヒカン刈り専門(?)の床屋もあります。

 ところで,ブラジルは牛肉の国というイメージが強かったのですが,来て一週間が経とうとするのに,いまだに肉料理を食べていない。

(分厚いステーキはいつ食べられるんだろう)

という私の気持ちを見越してか,案内をしてくれた駐在員が

「犬鍋さん,今日の昼は肉にしましょうか」

「それは,是非!」

とはいうものの,目当ての店があるわけではない。

「ここなんかどうですかね」

 見ると,ありふれたポルキロのお店。看板には3種類の表示がある。ふつうの量り売りの場合,100グラム当たり1.49レアル。食べ放題の場合,7.49レアル。そこに「肉」の食べ放題を加えると11.49レアル。肉食べ放題は,「ホディジオ」(RODIZIO)と言うようです。

 まず,「一般の食べ放題」コーナーで好みのものを皿にとる。何しろ食べ放題だからと,ついついとりすぎてしまう。これが失敗でした。

 席につくと,肉の串刺しをもったお兄さんが回ってくる。「ホディジオ」というのは「回る」という意味なのだそうです。だから肉のホディジオもあれば,ピザのホディジオというのもある。

「要りますか」

「はい」

 肉を大きなナイフでそぎおとし,下に落ちそうになったときに,客は備え付けの小さなはさみにはさんで受け取る。

 肉の種類は多様。牛肉のあらゆる部位。そして鶏のハツや,ベーコン巻きのようなものもある。味はすべて塩味。肉汁したたるジューシーな肉あり,硬くてしょっぱいだけのものあり…。

 奥のほうでは,肉の串刺しを火に炙っているのが見えます。岩塩を振った大きな肉の塊を焼き,客のオーダーがあれば,焼けた外側をそぎ落として,また塩を降って火に炙る。ホディジオは「回りながら運んでくる料理」の食べ方をいい,この肉料理の名前はシュラスコ。ブラジルを代表する肉料理だそうです。

分厚いステーキ」のイメージとはぜんぜん違いますが,このシステムのほうがいろいろな肉が味わえて楽しい。お腹さえ許せば,無制限に食べ放題

 ただ,私の場合,肉が出てくる前に別のおかずでお腹が一杯になってしまい,思う存分肉が食べられなかったのが心残りです。

 結局この日も食べ過ぎで,晩御飯抜き。スナックにビールを飲みながらオリンピックを観るうちに,爆睡というお決まりのパターンでした。

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