犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

トレイルランニング

2023-06-19 23:55:58 | 日々の暮らし(2021.2~)
写真:多峰主山 (とうのすやま)(山渓オンラインより)

 夜の11時を回ったころに、最近通い始めたバー行きました。D(三女の夫、フィリピン人)もいっしょです。

 その日は、Dが「飲みに行きましょう。給料が出たので、私がおごります」というので、まず近所の居酒屋で飲みました。

 そこに居合わせた二組の夫婦と意気投合し(Dは誰とでもすぐ仲良くなります)、その店の二号店(カラオケ付き)に移動して、さらに盛り上がったあと、私たちだけ先に失礼してやってきた、三軒目です。

 店に入ってしばらくして、年配の西洋人が一人で来店し、カウンターの少し離れたところに座りました。

「あの方、常連さんでポーランド人なのよ」と、ママ。

「ポーランド人! ちょっと話してきます」

 早速Dが席を移動し、話し込み始めました。

 私のほうは、隣にいた別のお客さんと話しました。

「よくいらっしゃるんですか?」

「初めてです」

「このあたりの方ですか」

「いえ、茨城県から来ました」

「茨城県…」

「明日、大会があるので」

「何の大会ですか?」

トレイルランニングです」

「???」

 説明によれば、山道(未舗装路)を走るマラソンのような競技で、マラソンよりも長距離の場合が多い。そのお客さんがエントリーしていたのは、「奥武蔵ロングトレイルレース」で、飯能を出発し、さまざまな峠を経て多峰主山 (とうのすやま)に至る105kmのレース。

「105キロって、フルマラソンの二倍以上ですね!」

「アメリカなんかでは、100マイルレース(160キロ)が基本なので、短いほうです。でも、このコースは標高差が大きいので、やさしいレースではありません」

「いったい、何時間走るんですか?」

「今回の時間制限は38時間だったかな」

38時間! 丸一日以上じゃないですか」

「夜中も走るんです。頭にサーチライトをつけて」

「山道で迷ったら、遭難しちゃいますね」

「そこは自己責任です」


 その方は、フルマラソン歴30年の、58歳。大ベテランです。

「何時スタートですか」

「朝の5時半です」

「もう、今日ですね」


 時刻は12時を回ったところ。

「こんなところで飲んでいて、大丈夫なんですか?」

「今回は足を痛めていて、完走は最初からあきらめています。このコースは、電車が近くを走っているんで、リタイヤしたら電車で帰れるんです」

 そのとき、ポーランド人が帰ったので、Dが席に戻ってきました。

「じゃ、私たちもこの辺で。レースでのご健闘を祈ります」

 今まで、トレイルランニングという競技の存在も、そのレースがわが町からスタートするということも知りませんでした。

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