私がミャンマー語の学習を始めた2013年、書店に並んでいる初学者用のミャンマー語教材は少なかった。最初に買った本は、次の3冊です。
浅井美衣著『旅の指さし会話帳44ミャンマー』(情報センター出版局、2003)
チェリー・マーラー・トゥィン著『はじめてのミャンマー語』(明日香出版社、2004)
同著『ミャンマー語が面白いほど身につく本』(KADOKAWA/中経出版、2012)
このほかに、高価で大部の辞書、大学書林の古めかしい文法書、単語集、そして専攻学生向けの専門的な文法書もありましたが、買いませんでした(文法書は後に購入)。
その後、ミャンマーの民主化と日本のミャンマー進出の本格化もあって、ミャンマー語学習者が増えたのでしょう。ミャンマー語の学習書の新刊、復刊が相次ぎました。
これまでに私が購入した学習書について、今後、このブログでご紹介していきたいと思います。
まず、チェリー・マーラー・トゥィン著の2冊。
著者のチェリー・マーラー・トゥィンは、ミャンマーで大学を卒業後、弁護士資格を取得。89年に来日し、学習院大学、早稲田大学で学んで、司法通訳・翻訳、ミャンマー語教室を開いているそうです。
『はじめてのミャンマー語』は、第一章で、文字と発音、人称代名詞、数詞、時の表現、疑問詞、基本動詞・形容詞などを概説したあと、第二章で、あいさつ、自己紹介、基本的な質問、勧誘、感情表現などの日常会話、第三章で、旅行会話などを、CDを聞きながら学習します。
例文には、ミャンマー文字とともに、カタカナ表記がついているので、初学者にとってはありがたい。ただ、文字と発音の解説は簡略なので、これで文字を読めるようになることは難しい。
また、カタカナ表記は統一性がなく(同じ単語の表記が違っていたりする)、初学者でも気付く誤植が散見されます。このあたりは、細かいことを気にしないミャンマー人のおおらかさを感じることができます。
CDは、全例文について、まず日本語、次にミャンマー語が収録されているので、本を見なくても、CDだけひたすら聞いているだけで学習が成り立ちます。
独特なのが、第四章の「少数民族の言語」。代表的な7つの少数民族の言語(カチン、シャン、ヤカイン、モン、カヤー、カレン、チン)の基本会話が収録されています。90年代に日本に難民として渡ってきた人の中には、少数民族も多く、ミャンマーレストランでたまたま知り合ったミャンマー人に、このCDを聞かせると、大いに盛り上がったりします。
第五章には、カテゴリー別の単語が整理され、最後の第六章が「文法」。
文法が最後に置かれていることからわかるように、本書は、文法を体系的に学ぶ本ではなく、基本単語、基本表現をCDをきいてまるごと暗記するのに適しています。
付録として、日本語-ミャンマー語ミニ辞典がついていますが、語数は約250語と少ないので、あまり役には立ちません。
ミャンマー語の入門書としては、最も手軽で、難易度が低く、基本表現を身につけるのに適しています。
同じ著者が、別の出版社から出した『ミャンマー語が面白いほど身につく本』は、8年の時をおいて出た本ですが、構成は面白いほど似通っていて、例文も重複しています。
違いは、最終章にある「仕事で役立つミャンマー語フレーズ」で、ミャンマーに工場進出したときにもしかしたら役立つかも知れない表現が並んでいるところ。CDの作り方も、日本語→ミャンマー語で、CDを単独で聞いて学習するのに便利。
『はじめてのミャンマー語』は、2014年に「新版」が出ました。
デザインが現代的になったと同時に、初版で巻末に置かれていた文法解説が、会話編の前に移動されたほか、「旅行会話」は、新設された「ビジネス会話」の中に吸収されました。収録されている例文は、ほぼ初版を踏襲しています。
残念なのは、初版にあった「少数民族の言葉」が削除されたこと。少数民族の言葉が音声で聞ける唯一の本だったのに、惜しいことです。
ミャンマー語は日本人にとって難しい言語で、本格的な学習書をやりとげるのはハードルが相当高い。チェリー・マーラー・トゥィン氏の2冊は、どちらもミャンマー語の簡便な入門書としてはとても優れています。
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