二日の夕食は,ステーキのお店を予約してありました。
ステーキと言えば和牛。
和牛と言えば島根和牛。
日本に和牛は数多あれど,島根和牛は「日本三大和牛」に入っていない,知る人ぞ知る逸品です。でも,島根の人に言わせると,
「松阪牛なんて,元を正せばすべて島根和牛なんだよ」
なんでも,和牛の品評会のようなもので,島根和牛はよく優勝するのだそうです。そして素牛を松阪にもっていって,何カ月か肥育すると,「松阪牛」ブランドで売っていいんだそうです。
「そりゃ,島根和牛って言って売るより,松阪牛のほうが高く売れるからね」
(はたしてそんなことが許されているんでしょうか?)
それはともかく。私が件のステーキハウスに行ったのは20年以上前。来年成人式を迎える長女の里帰り出産の際に,「新しいステーキの店ができた」と,連れて行かれたものです。当時は,広瀬という片田舎にあった店が,その後松江に移り,つい先頃松江店の20周年を迎えたそうです。
韓国的尺度で言えば,十分に「伝統」を名乗る資格のある店といえましょう(→リンク)。
精肉店で修行したご主人が,夫婦でこぢんまりやっている店でした。ステーキはなんといっても肉質が命。精肉店で肉を見る目を身につけたご主人,常に最上級の肉を仕入れています。これだけの肉は,東京の銀座あたりにもっていけば,1万円以上とること間違いなし。
店の名は「和」一文字で「サワ」と読む摩訶不思議。
この地方は,変わった読み方をする地名が多い。出雲(イズモ),大山(ダイセン),宍道(シンジ)などはマシなほうで,「出雲郷」をどうやったら「アダカエ」と読めるのか! さすが神様の国です。
義父は開店以来の常連さん。ステーキでも必ず熱燗を頼むのですが,そのつまみとして,特別に牛脂を細かく切って焼いたものが出る。これがまたいけます。
さて,ステーキのほうは,極上のヒレ肉が売り物なのですが,私はいつもサーロイン。上等な霜降り肉をミディアムでいただく。ソースは辛口と甘口の二種類が用意されているものの,肉の旨みを味わうためには塩でいただくのがよろしい。塩も特別な「生物ミネラル塩」で,体にいいらしい。
牛脂をさかなに,まずは生ビール。義父とのおつきあいで熱燗もいただきつつ,せっかくだからと島根ワイナリーの「葡萄神話」(赤)のボトルも一本頼む。付け合わせはインゲン,にんじん,じゃがいもにコーン。
昼間,それとなくお菓子を大目に食わせておいた作戦が功を奏したのか,娘や姪たちが「全部は食べられそうもない」というので,ヒレ肉の一部もありがたくまきあげる。
今回もいつもながら大満足でした。
さて,韓国のステーキ事情は…。
まず,肉について。
牛肉は,和牛ならぬハンウ(韓牛)が高級とされています。それなりにおいしいものの,やはり高級な和牛に比べると味は落ちます。
これにはいくつか理由がある。
ビールを飲ませるというような,肥育技術の差もありましょうが,日本よりも牛肉料理が豊富なため,質のいい肉が分散してしまうということもあるのではないでしょうか。
そして,肉の旨みを引き出す技術も劣るような…。
私の知っている高級カルビ店は,肉の新鮮さを売り物にしていて,わざわざ客の見えるところで,いかにも新鮮そうな肉をさばいている。でも,肉の旨みを出すためにはある程度寝かして,熟成させなければならない。
そこのところを「さわ」のご主人に聞くと,ステーキ肉の食べごろの時期は,つぶした後約一カ月後。その間,凍らせずに低温で管理するのがポイントだそうです。
というわけで,韓国はあれだけ牛肉料理が発達しているわりに,ステーキはおいしい店がない。
AUTOBACKのようなステーキハウスは輸入肉だから論外として,韓牛を出すホテルのフランス料理店やイタリア料理店でも,私が行ったところは,妙にケチャップっぽいソースがかかって出てくるので,せっかくの肉が台無しになる。
ということで,ステーキ勝負は文句なく日本の勝ち。
ステーキと言えば和牛。
和牛と言えば島根和牛。
日本に和牛は数多あれど,島根和牛は「日本三大和牛」に入っていない,知る人ぞ知る逸品です。でも,島根の人に言わせると,
「松阪牛なんて,元を正せばすべて島根和牛なんだよ」
なんでも,和牛の品評会のようなもので,島根和牛はよく優勝するのだそうです。そして素牛を松阪にもっていって,何カ月か肥育すると,「松阪牛」ブランドで売っていいんだそうです。
「そりゃ,島根和牛って言って売るより,松阪牛のほうが高く売れるからね」
(はたしてそんなことが許されているんでしょうか?)
それはともかく。私が件のステーキハウスに行ったのは20年以上前。来年成人式を迎える長女の里帰り出産の際に,「新しいステーキの店ができた」と,連れて行かれたものです。当時は,広瀬という片田舎にあった店が,その後松江に移り,つい先頃松江店の20周年を迎えたそうです。
韓国的尺度で言えば,十分に「伝統」を名乗る資格のある店といえましょう(→リンク)。
精肉店で修行したご主人が,夫婦でこぢんまりやっている店でした。ステーキはなんといっても肉質が命。精肉店で肉を見る目を身につけたご主人,常に最上級の肉を仕入れています。これだけの肉は,東京の銀座あたりにもっていけば,1万円以上とること間違いなし。
店の名は「和」一文字で「サワ」と読む摩訶不思議。
この地方は,変わった読み方をする地名が多い。出雲(イズモ),大山(ダイセン),宍道(シンジ)などはマシなほうで,「出雲郷」をどうやったら「アダカエ」と読めるのか! さすが神様の国です。
義父は開店以来の常連さん。ステーキでも必ず熱燗を頼むのですが,そのつまみとして,特別に牛脂を細かく切って焼いたものが出る。これがまたいけます。
さて,ステーキのほうは,極上のヒレ肉が売り物なのですが,私はいつもサーロイン。上等な霜降り肉をミディアムでいただく。ソースは辛口と甘口の二種類が用意されているものの,肉の旨みを味わうためには塩でいただくのがよろしい。塩も特別な「生物ミネラル塩」で,体にいいらしい。
牛脂をさかなに,まずは生ビール。義父とのおつきあいで熱燗もいただきつつ,せっかくだからと島根ワイナリーの「葡萄神話」(赤)のボトルも一本頼む。付け合わせはインゲン,にんじん,じゃがいもにコーン。
昼間,それとなくお菓子を大目に食わせておいた作戦が功を奏したのか,娘や姪たちが「全部は食べられそうもない」というので,ヒレ肉の一部もありがたくまきあげる。
今回もいつもながら大満足でした。
さて,韓国のステーキ事情は…。
まず,肉について。
牛肉は,和牛ならぬハンウ(韓牛)が高級とされています。それなりにおいしいものの,やはり高級な和牛に比べると味は落ちます。
これにはいくつか理由がある。
ビールを飲ませるというような,肥育技術の差もありましょうが,日本よりも牛肉料理が豊富なため,質のいい肉が分散してしまうということもあるのではないでしょうか。
そして,肉の旨みを引き出す技術も劣るような…。
私の知っている高級カルビ店は,肉の新鮮さを売り物にしていて,わざわざ客の見えるところで,いかにも新鮮そうな肉をさばいている。でも,肉の旨みを出すためにはある程度寝かして,熟成させなければならない。
そこのところを「さわ」のご主人に聞くと,ステーキ肉の食べごろの時期は,つぶした後約一カ月後。その間,凍らせずに低温で管理するのがポイントだそうです。
というわけで,韓国はあれだけ牛肉料理が発達しているわりに,ステーキはおいしい店がない。
AUTOBACKのようなステーキハウスは輸入肉だから論外として,韓牛を出すホテルのフランス料理店やイタリア料理店でも,私が行ったところは,妙にケチャップっぽいソースがかかって出てくるので,せっかくの肉が台無しになる。
ということで,ステーキ勝負は文句なく日本の勝ち。
だから牛肉を扱う技術が劣っているのは当たり前。19世紀末から牛肉食を始めた日本より遅れてるみたいです。
そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、67年から10年間ソウルに駐在していた人から、彼の国の食生活がどれだけ悲惨で(日本人の感覚で)キモかったかを教えてもらいました。
88五輪以前と以後で,ソウルの街はガラリとかわったそうですが,67~77年は相当だったのでしょうね。