犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

新春日韓食対決④~蜆と松茸

2008-01-04 10:16:11 | 食べる
 さて,正月三日の朝は,シジミの味噌汁と松茸ごはんという豪勢な朝食です。

 シジミはもちろん宍道湖産のヤマトシジミ

 宍道湖は「七珍」といって,七つの珍味の産地として有名です。シジミを筆頭に,スズキ,シラウオ,ワカサギ…。えーっと,あとは…。島根県人に聞いてもすべてを挙げられる人は少ないほどの豊富さです。

 島根県人に言わせると,

「日本のシジミはほとんどが宍道湖産なんだよ。宍道湖でとれた稚貝を持っていって,放流しているんだよ」

(なんか,和牛のときも似たようなことを聞いたな…)

 宍道湖といえば,数年前,「宍道湖・中海淡水化事業の中止」というニュースが大きく報じられたのをご記憶でしょうか。中海というのは宍道湖に隣り合う汽水湖。その中海を干拓し,同時に宍道湖と中海を淡水化して灌漑用水に使えるようにしようという大土木事業計画でした。
 食料難の時期に,お米の増産目的で企画されたものが,米の消費減,減反政策という時代変化の中で陳腐化し,莫大な資金を投入して淡水化のための水門が完成したところで,宍道湖と中海の自然環境保護を理由に中止になりました。

 壮大なる税金の無駄遣いです。

 これで得したのは誰か。水門工事を請け負った土建屋も儲けたでしょう。でも,ジジミ取りの漁師さんたちもいい思いをしたらしい。
 シジミは海水と淡水の混じる汽水湖に棲息する生き物ですから,宍道湖が淡水化されれば,全国の50%の漁獲高を誇っていた宍道湖のシジミ漁は壊滅する。それを見越して政府からは巨額の補償金が支払われました。
 漁民のほうも,もう先がないから,とれるうちにとってしまおうと,せっせととりまくるとあら不思議。シジミはとればとるほど湧いて出てくるもののようです。あんまりとれすぎるので,漁は午前中だけにして,あまりは全国に稚貝を供給する。湖の漁ですから,一般の漁業と違って遭難の危険もない。補償金も出る。こんなうまい話はありません。

 まさに神のご加護といえるでしょう。

 なお,淡水化事業中止のとき,漁協による「補償金返還運動」というのがあったようですが,実際に返還されたのかどうか,ネットで調べたけれどよくわかりませんでした。きっと返還したんでしょうね。

 ……。

 そうそう,シジミの味噌汁と松茸ごはんの話でした…。

 松茸もまた,こちらでは「大山松茸」という香り高い逸品があって,島根県人に言わせれば

「そこらの韓国産とか中国産とか北朝鮮産とは,香りがぜんぜん違う」

んだそうです。

 結婚したばかりのころ,実家から一本○千円だか,○万円だかの松茸を送ってきたのですが,友達やご近所の人に見せびらかしているうちに干からびてしまい,それを味わう機会を逸してしまった苦い記憶が蘇ります。

 でも,正月に松茸とは…。

 豪雪地帯の大山でこの時期に松茸が採れるはずもなく,おそらくは冷凍ものでしょう。

 韓国の松茸については以前書いたことがあります(リンク)。今回の松茸ごはん,韓国産松茸を使ってつくったものと甲乙つけがたいというか,丙丁つけがたいというか…,いい勝負でした。

 シジミについては,釜山での思い出があります。

 釜山出身の韓国人を訪ね,広安里(クァンアッリ)の海鮮食堂でしたたかに飲んだ翌朝,二日酔いでふらふらしながら,かのチャガルチ市場のシジミ専門店で食べたシジミ汁。

 冷たいスープが,アルコールで荒れた胃に染みわたる。

「シウォネー!」
(気持ちいい!)

 そのシジミ汁にご飯をぶちこみ,がつがつとかきこむのもそれまでにないシウォナン体験。

 ということで,この日のシジミ+マツタケ勝負は韓国に軍配をあげたいと思います。

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