ケ 깨 (=ゴマ)およびそれからとったゴマ油(チャムキルム)は、マヌル(ニンニク),コチュ(唐辛子)と並んで、韓国三大香辛料の一つです。
これらは大半の韓国料理に入っており、他の素材のもつほのかな香りを圧倒し、すべて打ち消してしまうほど強力です。
韓国人の舌はこの三つの強力な香辛料によって幼時から味蕾を破壊され、麻痺させられているため、素材の味を生かした繊細な料理はたいてい
「シンゴプタ 싱겁다 (味が薄い)」
「マシオプタ 맛이 없다 (味がない=まずい)」
と判定されます。
さて、韓国では、ケにはチャムケ 참깨 (真のゴマ)とトゥルケ 들깨 (野のゴマ)の二つがあると信じられています。
その二つの総称がケ 깨 であると。
ゴマ油も二種類があるとされ、チャムケからとった油は「チャムキルム 참기름 」,トゥルケからとった油は「トゥルキルム 들기름 」と呼ばれます。
二つのケのうち、チャムケは日本語で胡麻、ゴマ科の植物です。
一方トゥルケのほうは日本ではあまり馴染みがありませんが、荏胡麻(エゴマ)。植物学上、シソ科の植物であり、ゴマ科の胡麻とは縁もゆかりもありません。
しかし韓国では両者が渾然一体に認識されています(日本語でもゴマとエゴマで名前が似てますが)。
私は韓国に行くまでエゴマというものを知りませんでした。
エゴマの葉っぱはシソの葉と瓜二つですが,香りはまったく異なります。韓国語でケンニプ 깻잎 といい、これはケ 깨 (ゴマ)とイップ 잎 (葉)の複合語(鼻音化によってシオッの発音が変わります)で、単純に直訳すれば「ゴマの葉」。
私が独自に取材した結果、大部分の韓国人はこれをチャムケ(いわゆるゴマ)の葉っぱであると思い込んでいます。
ケンニプは焼肉を食べるときに肉を包んでたべたり、キムチにしてご飯を包んで食べたりもしますが、犬鍋やカムジャタンの中にも大量に投入します。独特の香りがあり、日本人の中には苦手な人もいますが、慣れてしまうとやみつきになります。
また実はこまかくすりつぶして,やはり犬鍋を食べるときの薬味として使います。
日本に来た韓国人の留学生は、スーパーでシソの葉を見つけてぬか喜びし、大量に購入しますが、食べてみて顔をしかめ、吐き出し、結局すべて捨てます。留学生が必ず受ける洗礼です。
シソの葉は韓国人に言わせると
「化粧品の臭いがする。
これは人間の食い物じゃない」
ということです。
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韓国の三大香辛料-マヌル
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日本でも売っているんでしょうか?
しかし、韓国人自身もゴマの葉と勘違いしている人が多いとは!
日本人の僕が勘違いしていてもおかしくはなかったわけですね。ははは。