犬鍋のヨロマル漫談

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尹大統領の言い分

2024-12-13 19:11:14 | 韓国雑学

写真:国民に向け談話を発表する尹大統領(KBSニュース)

 戒厳令宣布と解除という騒動のあと、尹錫悦大統領は四面楚歌の状況で、韓国民は尹大統領の言葉に聞く耳を持たない状態ですが、まずは尹大統領の言い分も聞いてみましょう。

朝鮮日報2024年12月12日(原文、韓国語)

[全文]尹錫悦大統領の第4次対国民談話文

 尊敬する国民の皆さん、

 私は今日、非常戒厳に関する立場を明らかにするためにこの場に立ちました。


 今、野党は非常戒厳宣布が内乱罪に当たると言い、狂乱の剣舞を踊っています。本当にそうでしょうか? 果たして今、大韓民国で国政麻痺と国憲紊乱を繰り広げている勢力は誰でしょうか? 

 過去2年半の間、巨大野党は、国民が選んだ大統領を認めず、引きずり降ろすため、退陣と弾劾の扇動をやめませんでした。大統領選挙の結果を承服しないのです。大統領選以降現在まで、なんと178回もの大統領退陣、弾劾集会が、任期の初めから開かれました。

 大統領の国政運営を麻痺させるため、韓国政府出帆以来、今まで数十人の政府公職者弾劾を推進してきました。弾劾された公職者たちは、間違ったところが何もなくても、訴追から判決宣告まで長期間職務が停止されます。弾劾が発議され、訴追が行われる前、多くの公職者たちが自ら辞任したりもしました。弾劾乱発で国政を麻痺させてきたのです。

 長官(大臣)、防統委員長らをはじめ、自分たちの不正を調査した監査院長と検事たちを弾劾し、判事たちを強迫する事態に至りました。自分たちの不正を覆い隠すための防弾弾劾であり、公職綱紀と法秩序を完全にひっくり返すことです。


 それだけでなく違憲的な特検法案を27回も発議しながら、政治扇動攻勢を加えてきました。 挙句の果てに犯罪者が自ら免罪部を与えるセルフ防弾立法まで押し立てています。巨大野党が支配する国会が自由民主主義の基盤ではなく、自由民主主義の憲政秩序を破壊する怪物になったのです。これが国政麻痺であり、国家危機状況でなければ何なのでしょう?

 これだけではありません。今、巨大な野党は国家安全保障と社会の安全まで脅かしています。


 例えば、今年6月に中国人3人がドローンを飛ばし、釜山に停泊中の米国空母を撮影して摘発された事件がありました。彼らのスマートフォンとノートパソコンからは、少なくとも2年以上にわたって韓国の軍事施設を撮影した写真が発見されました。

 先月には、40代の中国人がドローンで国情院(国家情報院)を撮影して捕まりました。この人物は中国から入国するとすぐに国情院に行ってこのようなことをしたことが確認されました。

 しかし、現行法では外国人の間諜(スパイ)行為を間諜罪で処罰する道がありません。このような状況を防ぐために刑法の間諜罪の条項を修正しようとしましたが、巨大な野党が頑強に妨害しています。前政権下で、国情院の対共(対共産主義)捜査権を剥奪しただけでは足りずに、国家保安法の廃止まで試みています。国家安全保障を脅かすスパイを捕まえないでくれということではありませんか?

 北朝鮮の不法な核武装とミサイルによる挑発にも、GPS攪乱と汚物風船にも、民主労総間諜事件にも、巨大野党はこれに同調するだけでなく、むしろ北朝鮮側の肩を持ち、これに対応するために孤軍奮闘する政府のあら捜しをするだけでした。北朝鮮の不法核開発に伴う国連対北朝鮮制裁も先に解除すべきだと主張しています。いったいどの国の政党なのか、どの国の国会なのかわかりません。

 検察と警察の来年度特警費、特活費予算はまったくのゼロにまで削られました。金融詐欺事件、社会的弱者に対する犯罪、麻薬捜査など民生侵害事件捜査、そして対共捜査に使われる緊要な予算です。麻薬、ディープフェイク犯罪に対応する予算までも大幅に削減しました。自分たちに向けられた捜査の妨害を越えて、麻薬捜査、組暴(組織暴力団)捜査といった民生事犯捜査まで妨害するのです。大韓民国をスパイ天国、麻薬の巣窟、組暴国にするということではありませんか? このような人々こそ、国を滅ばそうとする反国家勢力ではないでしょうか? そうしておいて自分たちの特権を維持するための国会予算は、むしろ増やしました。


 経済も危機非常状況です。巨大野党は大韓民国の成長動力まで引っ搔き回そうとしています。民主党が削減した来年の予算内訳を見ればよくわかります。原発・生態系支援予算を削減し、チェコ原発輸出支援予算はなんと90%削ってしまいました。次世代原発開発関連予算はほぼ全額を削減しました。基礎科学研究、量子、半導体、バイオなど、将来の成長動力予算も大幅に削減しました。東海(日本海)ガス田掘削予算、いわゆる大王鯨事業予算も事実上全額削減しました。青年雇用支援事業、脆弱階層児童資産形成支援事業、子女養育手当まで手をつけました。産業生態系造成のための革新成長ファンド、強小企業(成長企業)育成予算も削減しました。災害対策予備費はなんと1兆ウォンも削減し、パンデミックへの備えのためのワクチン開発と関連R&D予算も削りました。


 このように今、大韓民国は巨大野党の議会独裁と暴挙によって国政が麻痺し、社会秩序が攪乱され、行政と司法の正常な遂行が不可能な状況です。

 国民の皆さん、

 以上は国民の皆さんもよくご存知のことです。しかし、私が非常戒厳という重大な決断を下すまで、直接どうしても明らかにできなかった、より深刻なことがたくさんあります。


 昨年下半期、選挙管理委員会をはじめとする憲法機関や政府機関に対して、北朝鮮のハッキング攻撃がありました。国家情報院がこれを発見し、情報流出と電算システムの安全性を点検しようとしました。他のすべての機関は、自分たちの参観の下で国家情報院が点検することに同意し、システム点検が進められました。しかし、選挙管理委員会は憲法機関であることを理由に掲げ、完全に拒否しました。


 その後、選管委の大規模採用不正事件が発覚し、監査と捜査を受けることになってはじめて国情院の点検に一歩譲りました。しかし、システムの装備全体のほんの一部だけが点検に応じ、残りは応じませんでした。システム装備の一部だけを点検しましたが、状況は深刻でした。国家情報院の職員がハッカーとしてハッキングを試みると、いくらでもデータ捏造が可能であり、ファイアーウォールも事実上ないも同然でした。パスワードもとても単純で「12345」みたいなやり方で設定されていました。システムセキュリティ管理会社も非常に小規模の、専門性がまるで足りない会社でした。

 私は当時、大統領として国情院の報告を受けショックを受けました。民主主義の核心である選挙を管理する電算システムがこのように出鱈目では、どうやって国民が選挙結果を信頼できましょうか? 選管委も国情院の保安点検過程に立ち合い、見守りましたが、自分たちは直接データを捏造したことがないという言い訳を繰り返すだけでした。選管委は憲法機関であり、司法部関係者が委員をしており、令状による押収捜索や強制捜査が事実上不可能です。自分たちが協力しなければ真相究明はできません。24年4月の総選挙の前にも問題ある部分に対する改善要求をしましたが、きちんと改善されたかどうかわかりません。それで私は今回、国防長官に選管委の電算システムを点検するよう指示したのです。

 最近、巨大野党の民主党が自分たちの不正を捜査し監査するソウル中央地検長と検事たち、憲法機関である監査院長を弾劾すると言った時、私はもはやこれ以上、座視できないと判断しました。何か手を打たなければならないと思いました。彼らはまもなく司法部にも弾劾の刃をむくことが明らかでした。


 私は非常戒厳令発動を考えるようになりました。巨大野党が憲法上の権限を乱用して違憲的措置を繰り返しましたが、私は憲法の枠組み内で大統領の権限を行使することにしました。


 現在の亡国的国政麻痺状況を社会攪乱による行政・司法の国家機能崩壊状態と判断し、戒厳令を発動しましたが、その目的は、国民に巨大野党の反国家的悖悪を知らせ、これを押しとどめるよう警告することでした。そうすることで自由民主主義の憲政秩序の崩壊を防ぎ、国家機能を正常化しようとしたのです。


 実は12月4日の戒厳解除以後、民主党で監査院長とソウル中央地検長などに対する弾劾案を保留するとし、短時間の戒厳を通じたメッセージが一定部分効果があったと考えました。しかし、二日後に保留するといっていた弾劾訴追を放置してしまいました。非常戒厳の名分をなくそうという意志でした。


 もともと私は国防長官に、過去の戒厳とは違って戒厳の形式を借りて昨今の危機状況を国民に知らせ訴える非常措置を行うと言いました。それで秩序維持に必要な少数の兵力だけを投入し、実際の武装はせず、国会の戒厳解除議決があればすぐに兵力を撤収させるつもりだと言いました。実際に国会の戒厳解除議決があったので、国防部庁舎にいた国防長官を私の事務室に来させ、即時の兵力撤収を指示しました。

 私が大統領として発令した今回の非常措置は、大韓民国の憲政秩序と国憲を覆そうとしたものではなく、国民に亡国の危機状況を知らせ、憲政秩序と国憲を守り回復させるためのものです。


 小規模とはいえ兵力を国会に投入した理由も、巨大野党の亡国的行態を象徴的に知らせ、戒厳宣布放送を見た国会関係者と市民が大挙集まることに備えて秩序維持をするためのものであり、国会を解散させたり機能を麻痺させようとしたものではないことは自明です。300人未満の実武装していない兵力で、あの広い国会の空間を相当期間掌握することはできないのです。

 過去のような戒厳をしようと思えば数万人の兵力が必要で、広範囲の事前議論と準備が必要ですが、私は国防長官に戒厳令発令談話放送で国民に知らせた後、兵力を移動させるよう指示しました。それで10時30分に談話を放送し、兵力投入も11時30分から12時過ぎに行われ、1時過ぎに国会の戒厳解除決議があるとすぐ、軍撤収を指示しました。結局、兵力が投入された時間は1~2時間程度に過ぎません。もし国会機能を麻痺させようとしたら、平日ではなく週末を期して戒厳を発動したでしょう。まず国会の建物に対する断電、断水措置をとっただろうし、放送送出も制限したでしょう。しかし、何一つ行いませんでした。国会で正常に審議が行われ、放送を通じて全国民が国会の状況を見守りました。

 自由民主憲政秩序を回復し、守るために、国民の皆さんに亡国的状況を訴えるという不可避の非常措置をしましたが、死傷者が発生しないように安全と事故防止に万全を期すようにし、士兵ではなく副士官以上の精鋭兵力だけを移動させるようにしたです。


 私は今回の非常戒厳を準備するに際し、ただ国防長官だけとの間で議論し、大統領室と内閣の一部の人士に宣布直前、国務会議で知らせました。それぞれ担当業務の観点から憂慮される反対意見開陳もたくさんありました。私は国政全般を見る大統領の立場から、現状ではこのような措置が不可避だと説明しました。軍関係者たちはみな大統領の非常戒厳発表後、兵力移動指示に従ったのである以上、彼らには全く落ち度はありません。


 そしてはっきりと申し上げますが、私は国会関係者の国会への出入りを妨害しないようにしましたし、国会議員と膨大な人の波が国会前広場と本館、本会議場に入り、戒厳解除案件審議も行われたのです。


 それにもかかわらず、なんとかして内乱罪を作りあげ、大統領を引きずり降ろすために、数多くの虚偽の扇動を作り出しています。いったい、2時間で終わる内乱というものがあるでしょうか? 秩序維持のため、少数の兵力をしばらく投入したことを暴動というのでしょうか? 巨大野党が偽の扇動で弾劾を急ぐ理由はなんでしょうか?

 理由はただ一つです。巨大野党代表の有罪宣告が差し迫るや、大統領の弾劾を通じてこれを回避し、早期に大統領選挙を行うことです。国家システムを打ち壊してでも自分の犯罪を覆い隠し、国政を掌握しようというのです。これこそ国憲紊乱行為ではありませんか? 私を弾劾するにしろ、捜査するにしろ、私はそれに堂々と立ち向かうでしょう。


 私は今回の戒厳宣布に関し、法的、政治的責任問題を回避しないと、すでに申し上げました。私は大統領就任以来、これまでただの一瞬も個人的な人気や大統領の任期、地位の保全に恋々としてきたことはありません。地位の保全のことだけを考えていたなら、国憲紊乱勢力とわざわざ正面から戦うこともなかったでしょうし、今回のように非常戒厳を宣布することはさらさらなかったでしょう。


 5年の任期の間、地位を守ることだけに汲々として、国家と国民を無視することはできませんでした。私を選んでくれた国民の意を捨てさることはできませんでした。一日と置かず、多数の力で立法暴挙に没頭し、ひたすら防弾にのみ血眼になっている巨大野党の議会独裁に立ち向かい、大韓民国の自由民主主義と憲政秩序を守ろうとしたのです。その道しかないと判断して下した大統領の憲法的決断であり、統治行為がどうして内乱になるのでしょうか。

 大統領の非常戒厳宣布権行使は、赦免権行使、外交権行使と同じく、司法審査の対象にならない統治行為です。

 国民の皆さん、

 今野党は私を重犯罪者として追いつめ、すぐに大統領職から引きずり下ろそうとしています。もし亡国的国憲紊乱勢力がこの国を支配するならば、どんなことが繰り広げられるでしょうか?


 違憲的な法律、セルフ免罪符の法律、経済崩壊の法律が国会を無差別に通過し、この国を完全に潰してしまいます。原発産業、半導体産業をはじめとする未来の成長動力は枯死し、中国産太陽光施設が全国の森林を破壊するでしょう。私たちの安保と経済の基盤である韓米同盟、韓米日共助は再び崩れるでしょう。北朝鮮は核とミサイルを高度化し、わが国の生活をより深刻に脅かすでしょう。そうなればこの国、大韓民国の未来はどうなるのでしょうか? 

 スパイが大手を振って行き交い、麻薬が未来世代を台無しにし、組織暴力団が横行する、そんな国になるのではありませんか? 今まで国政麻痺と国憲紊乱を主導した勢力と犯罪者集団が国政を掌握し、大韓民国の未来を脅かすことだけは、どんなことがあっても防がなければなりません。私は最後まで戦うつもりです。

 国民の皆さん、

 国政麻痺の亡国的非常状況から国を守るため、国政を正常化するため、大統領の法的権限で行使した非常戒厳措置は、大統領の高度の政治的判断であり、ただ国会の解除要求だけで統制できるものです。これが司法部の判例と憲法学界の多数意見であることを、多くの方々が知っています。


 私は国会の解除要求を即座に受け入れました。戒厳発令要件について異なる考えを持っている方もいらっしゃいますが、国を生き延びさせようとする非常措置を、国をだめにしようとする内乱行為として見ることは、さまざまな憲法学者と法律家たちが指摘するように、わが国の憲法と法体系を深刻な危険に晒すことです。

 私はお尋ねしたい。今あちこちで狂乱の剣舞を踊る人々は、国がこの状態に来るまで、どこでいったい何をしていたのでしょうか? 大韓民国の状況が危うく、危機に瀕しているという考えも全くなかったということでしょうか。


 公職者の皆さんにお願いします。厳しい安全保障状況とグローバル経済危機において、国民の安全と民生を守る仕事に、ぶれることなく邁進してください。

 国民の皆さん、

 これまでの2年半、私はただ国民だけを眺め、自由民主主義を守り、再建するために不義と不正、民主主義を装った暴挙に立ち向かって戦いました。血と汗で守ってきた大韓民国、私たちの自由民主主義を守る道に、みなが一つになってくださるよう、心から訴えます。


 私は最後の瞬間まで国民の皆さんと一緒に戦います。短い時間でしたが、今回の戒厳にびっくりし、不安を感じられた国民の皆さんに、もう一度お詫び申し上げます。国民の皆さんに対する私の熱い忠誠だけは信じてください。

 ありがとうございました。 

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