犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

犬の油

2006-08-26 08:04:15 | 言葉

 韓国に赴任してまもないころ、二村洞のある焼肉屋で、家族そろってカルビを食べました。
 日本語も通じる店なのですが、来る前に韓国語を勉強していたので、それを試したくて、注文、追加など可能なかぎり韓国語で通そうとしていました。
 センカルビ(カルビ)が出てきたとき、各自に塩の小皿が配られました。

 前に食べたときは、ここにごま油を入れていたなあ。よし、頼んでみるか。

 ゴマは「 」、油は確か「キルム 기름」だ。

「アジュンマ~ ケキルムジュセヨ」(おばさん、ごま油ください)

「ムォエヨ?」(えっ?)聞き取れないようです。

「ケキルム,ケキルム!」塩の皿を指さしながら大きな声で繰り返しました。

 するとアジュンマが激しく吹き出しました。

「アー,チャムキルム!

 当時の私にはキルム 기름という語彙はあったものの、ごま油を表す「チャムキルム 참기름 」は残念ながら私の語彙になかった。ケとキルムを組み合わせた「ケキルム 깨기름 ×」などという言葉は韓国語に存在しなかったのです。

 悪いことに、当時の私は平音と濃音を発音しわけることができず、
「ッケキルム 기름 」といおうとしたのに
「ケキルム 기름 」(=の油)という発音になってしまったらしいのです。

 アジュンマが吹き出したのも当然でした。


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