犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

はげちょろける

2024-02-14 00:02:58 | 言葉

 わが家の居間で、小さな座卓を使っています。大きさや高さが、孫の食事にちょうどいいからです。

「これ、ずいぶんはげちょろけてるね。そろそろ買いかえようか」

はげちょろける? 何それ?」
と三女。

「え? 使わない? 剥げてるところが多いってこと」

「聞いたことないよ」

「聞いたことはあるけど、使ったことはない」
と妻。

「じゃあ、この状態をなんて言うの?」

 座卓を指さして言いました。

キズだらけかな」

 不安になって、辞書を引いてみました。「三省堂国語辞典」の 最新版(2022年、第8版)です。

はげちょろ【剥げちょろ】〔俗〕ところどころがはげてみにくいようす。はげっちょろ(け)。はげちょろけ〔動詞化して、はげちょろける〕。

 この言葉、小さいころから使っていた気がします。

 家にあるもっとも古い辞書、『新明解国語辞典』(三省堂、初版、1972年)にも、ちゃんと出ていました。

はげちょろ〔色・塗料・髪の毛などが〕あちこちはげていること。

はげちょろけ「はげちょろ」の強調形。(動)はげちょろける


 この項の一つ前には、

はげちゃびん【禿げ茶瓶】〔俗〕禿げ頭(の人)を悪く言う言葉。

というのがありました。

 ちゃびんが茶瓶であるということを、初めて知りました。

「はげちょろけ」は、50年前の新明解では〔俗〕という表示がなく、2022年の三国では〔俗〕となっています。

 50年間で、俗語化したということなんでしょう。

 なお、新明解初版も、三省堂国語辞典も、見坊豪紀が中心的な役割を果たしています。見坊は、『新明解』の前身の『明解国語辞典』のときから実質的執筆者でしたが、『三省堂国語辞典』が出た後、主幹の山田忠雄との「辞書観」の違いから袂を分かち、『新明解』から手を引いて『三国』に専念するようになります。

辞書の話~見坊豪紀①

 当然のことですが、私の手元にある『新明解』初版は、そうとうにはげちょろけてます。





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4 コメント

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はげちょろけ (スンドゥブ)
2024-02-14 07:53:53
使ったことが無いというより、初めて聞きました。
「ちょろけ」というのは関西では「ふざける」という意味ですが、関係がしっくりきません。
京都では「はげちょろけ」は色褪せたという意味で使うとあります。
「はげちゃびん」は子供の頃よく使いました。「どびんちゃびんはげちゃびん」という遊びがチャンネルを回してた頃、テレビでやっていました。
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我が家だけ? (スポック)
2024-02-14 08:53:29
うちの祖母や父は、ごはんが堅いことを「こわい」、火が消えること(特にたばこや線香)を「とぼる」と言っていましたが、妻の実家では言わなかったそうです。これって、父方だけなんでしょうか?
ちなみに祖母は新潟、妻は茨城です。
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どびんちゃびん… (bosintang)
2024-02-15 22:14:22
コメントありがとうございます。

どびんちゃびんはげちゃびんは、かすかに記憶にありますが、自分はやらなかったような…。

はげちょろけるは、一般的ではないんですね。使う場面もあまりないし。
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おかったるい (bosintang)
2024-02-15 22:19:49
とぼるは初耳です。「三国」にも出ていません。

「ごはんがこわい」は子どもの頃、母がよく使っていました。「三国」にも載っていて、漢字は「強い」だそうです。

ごはん絡みでいうと、「おかったるい」という言葉も、家庭内でよく聞きました。「量がたりない、物足りない」というような意味で、おかずよりごはんについて言っていたようです。

「三国」にはないので、一般的ではないかもしれません。
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