犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~トンアリ

2019-08-09 23:20:52 | 韓国便り(帰任以後)
 出張二日目の昼食は、中華料理屋に行きました。

 事務所は、昨年、新世界百貨店の隣の中央郵便局のビルに移転しました。

「近くに中国大使館があるので、おいしい中華料理屋が多いんですよ」


 明洞の南にある中国大使館は、かつては中華民国(台湾)大使館でした。しかし、1992年、韓国が中華人民共和国と国交を樹立すると、台湾とは即日国交断絶、大使館の土地建物の名義も、中華人民共和国に変えられました。

 私が韓国に駐在し始めた90年代中盤も、付近一帯には中華料理に店が多かったですが、ほとんどは韓国に長く居住する華僑の店で、味は韓国人の好みに合わせられていました。

 私は、チェンバンチャジャンミョン(チャジャンミョンに唐辛子を加え、鉄板上で炒めたもの)を注文。そのほかに、一緒に行った韓国人スタッフのためにタンスユク(韓国式酢豚)も一皿頼みました。

 夕食は、現地駐在員のおごりで、プルコギ。私と一緒に行った日本人出張者が、辛い物が苦手ということに配慮してくれたようです。

「もう一軒行きますか?」

「はい、喜んで」


 辛い物が苦手な出張者は、お酒も全然飲めないのでここでリタイヤ。駐在員と、私と、もう一人の韓国人で、日本人女性の経営する居酒屋に行きました。

「去年も行ったところですよね」

「ええ。でも今年、北倉洞(プクチャンドン)から武橋洞(ムギョドン)に引っ越したんですよ」

「武橋洞か。なつかしいなあ。私の最初の勤務地ですよ」

「日本の酒を結構そろえてて、日本人だけじゃなく、韓国人にも人気があったんだけど、不買運動の影響をもろに受けてね」


 店に入ると、それでも席はおおかた埋まっていました。韓国語も聞こえてきます。
ママさんがやってきました。

「どうなることかと思ったけど、「そんなの関係ない」って言って、以前と変わらずに来てくれる韓国人のお客さんも多くて、ほんとにありがたいですよ」

 ママさんは韓国在住20年。最初は延世大学の語学堂で韓国語の勉強をしたようです。

 店を出た後、店名を確認すると「トンアリ(仲間、同好会)」でした。

「トンアリか。昔、新村で同じ名前の飲み屋に行ったことがあります」

「新村? たしか、ママさん、最初は新村で始めたって言ってたなあ」

「そうなんですか? 当時は、けっこう在日の人たちがたくさん来てるっていう印象でした」

 「ママさん、大阪出身だからね。在日の知り合いが多いのかも。今度聞いてみるよ」


 しばらく辛い時期が続くと思
いますが、なんとか乗り切ってほしいものです。
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