犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ブラジル便り~結婚式

2009-08-10 06:03:23 | その他諸国便り
 さて,美術館で絵画を鑑賞し,高尚な気分になって結婚式に向かいました。

 急な招待だったので,正装などの用意はない。ブラジルは陽気な国,ラフな服装でもよかろうと思っていたら,黒の正装姿が多かったので多少気恥ずかしい。

 カトリックの国ブラジルだから,結婚式はカテドラルかと予想していたところ,地図を頼りに着いたところは公会堂のようなところ。

 中に入って驚きました。なんと正面に大きな仏壇があるではないですか。

(仏式か?)

 式場で会った会社の同僚に聞くと,新郎新婦は日系某新興宗教団体の信者なのでした。

(なんと,この団体は地球の裏側にまで進出していたのか!)

 仏壇の前の大きくて長細いスイカとパイナップルのお供えものが,どことなくアンマッチな気がします。

 3時半からということでしたが,新郎新婦の親戚らしき人々が入場してきたのが4時ごろ。そしてタキシードとウエディングドレス姿の主役の入場はそのあとです。音楽はヴィヴァルディー。仏壇との取り合わせが妙です。

 いよいよ式が始まりました。日系人らしき団体幹部が流暢なポルトガル語で挨拶をしたあと,正面の仏壇が観音開きに開帳される。中には仏様はなく「南無妙法蓮華経」の経文が。

 そして,その幹部様が勤行(?)を始める。すると,われわれのすぐ隣にいた巨漢黒人女性が声を揃えて「南無妙法蓮華経」を唱和するのに驚かされました。この女性も信者のようです。

 参集していた人々は,新郎新婦の信教を知らなかった人も多いのか,互いに顔を見合わせています。ひたすら南無妙法蓮華経を唱える勤行は延々と続きます。5分,10分と経過するうち,隣の人と目配せして苦笑する人,中には大きな欠伸をする人も出てくる。このあたり,ブラジル人は遠慮がありません。私も会議中の欠伸をよく目撃したものです。

 やっと「南無妙法蓮華経」が終わると,同じ幹部がお説教(?)を始めます。すべてポルトガル語なので内容はよくわかりませんが,たぶんありがたいお話だったのでしょう。

 お説教の次は三三九度

 ピンク色のスーツを来た中年の女性が取り仕切ります。タキシード,ウェディングドレスで三三九度はおもしろい。

 それが終わると,一転してブラジル式になります。

 指輪の交換,契約書(?)のサイン,抱擁…。参会者もやっと安心して見られるようになったようです。

 新郎新婦が,最初は自分の親族たちと,次に相手の親族たちと抱擁の挨拶をします。たんに頬を当てるだけではなく,挨拶にしてはあまりに力強く長い抱擁です。

 そして退場の音楽が始まり,新郎新婦それに両家の親族が中央の通路を夫婦単位で腕を組んで退場して大団円です。

 私にとって仏式の結婚式は初めて。ブラジルでこんな体験ができるとは思いもよりませんでした。

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