「行く」は、英語でgo、フランス語でaller(アレ)、韓国語で가다(カダ)…
では、ロシア語は?
これに答えるのは、それほど簡単ではありません。
なぜなら、ロシア語に「行く」を意味する単語がいくつかあるからです。
まず、徒歩で行くのか、乗り物に乗って行くのかで、異なる単語を使います。
徒歩で行く場合はидти(イッチー)、乗り物に乗っていく場合はехать(イェーハチ)です。
これに答えるのは、それほど簡単ではありません。
なぜなら、ロシア語に「行く」を意味する単語がいくつかあるからです。
まず、徒歩で行くのか、乗り物に乗って行くのかで、異なる単語を使います。
徒歩で行く場合はидти(イッチー)、乗り物に乗っていく場合はехать(イェーハチ)です。
つぎに、一定の方向に向かって行くか、不定の方向に行くのかによって、二つに分かれます。
上記の、идти(イッチー)、ехать(イェーハチ)は、どちらも一定の方向に向かって行くことを表します。これらを定動詞といいます。
そして、
不定の方向に(歩いて)行く場合は、ходить(ハヂーチ)
不定の方向に(乗り物に乗って)行く場合は、ездить(イェーズヂチ)
これらを不定動詞といいます。
どのように使い分けるかというと、
「どこへ行くの?」
「病院に行くところだよ」
というときは、定動詞(イッチー/イェーハチ)。これは、英語の現在進行形の用法に似ています。
昨日、映画を観に行った。
というときは、不定動詞(ハヂーチ/イェーズヂチ)。これは、実は、映画を観たあとに家に帰ってきて、今は家にいる、という意味が暗黙のうちに含まれています。つまり、片道ではなく往復の移動を表しているわけです。あえて意味を訳すと、「行ってくる」になるかもしれません。
毎週土曜日に、ジムに行く。
これも不定動詞を使います。これは、習慣の動作、つまり反復移動を表しています。
これらの使い方は、行く場所が決まっているから、「一定の方向に行く」ように感じられますが、不定動詞と呼ばれます。
実は不定動詞のもう一つの用法として、
美術館の中をあちこち行った(歩き回った)。
昨日、はとバスで東京を行った(回った)。
のような使い方があるのです。これは確かに「一定の方向」ではなくて、「不定の方向」と言えるでしょう。この用法から、「不定動詞」という名前が付いたと思われます。
話はこれで終わりません。
ロシア語の多くの動詞には、完了体と不完了体というペアがあるのです。
完了体は、ある動作の完了、結果の達成を積極的に示すのに対し、不完了体は、動作が完了したかどうかには関心がなく、動作そのものの有無や動作の過程を確認するときに使われるのだそうです。
「読む」の完了体читать(チターチ)と不完了体прочитать(プラチターチ)を例にとると、
彼女は昨日本を読んだ。(完了体)
は、本を最後まで読み切ったことを表しますが、
彼女は昨日、一日中、本を読んだ。(不完了体)
では、ずっと本を読んでいた(が、読み終えたかどうかはわからない)、という意味になります。
(歩いて)行くという意味のидти(イッチー)は不完了体ですが、по-という接頭辞がつくと(пойдти、パイッチー)、完了体になる。
ただ、この使い分けは、文法書の説明ではよくわからない。
放課後、私は家に行きました(家路につきました)。
は、完了体のпойти(パイチー)を使い、
放課後すぐ、私は家に行きます(家路につきます)。
では、不完了体のидти(イッチー)
前者は、帰宅という動作が完了したことが示され、後者では、帰宅の完了に関心がなく、授業が終わるとすぐ帰宅するという動作そのものを示しているということでしょうか。
明日、私は劇場に行く。(不完了体、идти)
は、確定した未来を表し、
明日、私は劇場に行く。(完了体、пойти)
は、予定(行くつもりであるが、実際に行くかどうかわからない)を示す、という説明も辞書にありましたが、こうなると完了/不完了という概念では理解不能。
ともかく、ロシア語の「行く」には、さまざまな単語があって、それを正確に使い分けるのは、外国人にとっては至難の業です。
さらに不思議なことに、ロシア語には、「来る」という単語がない!
「行く」という動詞に、何らかの接頭辞をつけて、「来る」という意味を表現するんだそうです。
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