D(三女の夫、フィリピン人)は、ジョークが好きです。ときどき、私たち家族にクイズを出します。
「Thank youは、ありがとうございます。では、No thank youは?」
「むずかしいね。「けっこうです」かな?」
「残念でした。答えは、ありがとうございません。ヒャッハッハッ!」
「ハハハ」
「ありがとうございません」というのは、日本語を学び始めた外国人がやりがちな間違いです。そこはかとない可笑しみが漂います。
「ございます」の否定形は「ございません」なので、「ありがとうございません」も否定形としてありそうなものだけれど、実際には言わない。
こういうあいさつことばは決まり文句なので、活用させてはいけないのだ、ということなのか。
「ありがとうございます」に似た形のあいさつに、「おはようございす」と「おめでとうございます」があります。
どちらも否定形を使わないという点では共通しています。
×「おはようございません」
×「おめでとうございません」
一方、過去形については違いがある。
「ありがとございました」とは言うけれど、「おはようございました」は言わない。「おめでとうございました」も、たぶん言わない。
「Thank youは、ありがとうございます。では、No thank youは?」
「むずかしいね。「けっこうです」かな?」
「残念でした。答えは、ありがとうございません。ヒャッハッハッ!」
「ハハハ」
「ありがとうございません」というのは、日本語を学び始めた外国人がやりがちな間違いです。そこはかとない可笑しみが漂います。
「ございます」の否定形は「ございません」なので、「ありがとうございません」も否定形としてありそうなものだけれど、実際には言わない。
こういうあいさつことばは決まり文句なので、活用させてはいけないのだ、ということなのか。
「ありがとうございます」に似た形のあいさつに、「おはようございす」と「おめでとうございます」があります。
どちらも否定形を使わないという点では共通しています。
×「おはようございません」
×「おめでとうございません」
一方、過去形については違いがある。
「ありがとございました」とは言うけれど、「おはようございました」は言わない。「おめでとうございました」も、たぶん言わない。
三省堂国語辞典によれば、
過去形の「ありがとうございました」は、以前のことを今感謝するときや、スピーチの最後などに使うことがある。
のだそうです。
そして、
「ありがとうございます」は「ありがとう」の丁寧語とされていて、これは感覚的にも納得できます。
でも語源的に言えば、ありがとうございますは、「ありがたい」(めったにない)という形容詞から来ていて、この「ありがたい」の丁寧語が「ありがとうございます」のはずです。
明鏡(大修館)の「ありがとう」の項には、
「有り難い」が「ございます」に続くときのウ音便形から。
と説明されています。
「ありがとう」の丁寧語が「ありがとうございます」というより、「ありがとう」は「ありがとうございます」の「ございます」を取った形、というほうが適切な気がします。
現代口語では 、形容詞(い形容詞)の丁寧形として、「~です」の形が認められています。でも、これはわりと新しい形で、文章語では「~ございます」をつけるのが正用でした。その場合、ウ音便になります。
△ありがたいです → ありがとうございます。
△はやいです → はようございます。
△めでたいです → めでとうございます。
△おいしいです。→ おいしゅうございます。
今、「~うございます」という表現は、時代がかっていて、むしろおかしく感じられるのですが。
三省堂国語辞典は、「い形容詞+です」について、次のように書いています(「です」の項)。
「だ」と違って「暑い」など形容詞にもつくが、不自然に感じられることもある。
(1)「暑いです」など言い切る形は、特に書きことばでは、舌足らずな印象をあたえることがある。「暑い日です」など名詞をはさむといい。
(2)過去形は、「暑かったです」など「…かったです」を使うが、これも、特に書きことばでは、「暑い日でした」などの形のほうがより自然。「暑いでした」の形は、鹿児島などの方言で使う。
このあたりの感覚は、私の語感と一致します。しかし、私の娘たちなど、若い世代はこの説明をよんで、「なるほど」と思うかどうか。
過去形は「…かったです」を使うという説明は、「…でした」を使わないということを暗に示しているんでしょう。「暑いでした」はやはり外国人が使いがちの表現ですが、日本語教育では「誤り」とされています。
勉強になりました。