マンション管理士日記

地域を守る:マンションと地域の融合

理事さんの悩み

2006年09月06日 | マンション管理士

近隣トラブル。 理事会や理事さんが最も頭を悩ます問題です。

音、におい、駐車の仕方、共用部分で子供の遊び方… とても感覚的でデリケートな事象ばかりです。

主観の要素が強く、なかなか解決は難しいのです。

上階の騒音でトラブルになって。 そう、相談を受けて室内に御邪魔したことがあります。 「ほら、今、掃除機の音が」 と言われるのですが、私の耳には聞こえません。

上階は、入居してから室内のリフォームをしたことはありません。 「以前の所有者とは、一切トラブルは無かったのですが…」 と、上階の方も困惑気味です。

正直に申し上げれば、聴覚が優れていて、かつ神経が非常に過敏な方なのだろうと感じます。 マンション向きの性格ではなかったかも。

しかし、購入されて区分所有者なのです。 今さら、不向きだから、では解決しません。

結局、上階の方にはカーペットを敷いてもらいました。 また、22時以降の洗濯機や掃除機の使用は控えて頂くように。

音を問題にされている方には、音楽などをかけて上階で音がするかどうかばかりに神経を尖らせないように、やんわりとお話ししました。

音の問題に子供が関係すると、もっとややこしい話になります。

やはり、共同生活です。 床をはぐれば下階の天井です。 壁は隣室と接しています。 互いにルールやマナーを大切にするよう心掛けることが大切になります。

特に、音やにおいに関する感じ方は千差万別です。 苦情や相談を受ける理事さんの苦労や悩みは大きいようです。

管理規約では解決出来ないデリケートな問題は、経験豊富な専門家に相談されるのも、方法だと考えます。

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マンションの購入 ②

2006年08月02日 | マンション管理士

息子さんの御一家がマンションを購入する予定なので、相談に来られました。

入居予定は、平成20年に入ってからです。 今月に申込み受付を開始するので、どうでしょうか? と。

申込み時に10万円が要ります。 希望の居室に決まれば、直ぐに契約となって、翌日には百数十万円の手付金を振り込むことになります。

一緒に資料をチェックしました。

「㎡単価が安すぎるように感じます。」 「安いのは、手抜きでしょうか?」 「技術革新もありますから、一概には言えませんが、この立地にしては安いですよね。」

「駐車場使用料も、とても安いですね。」 「安いなら、良いことではないですか?」 「駐車場収入は、大別して 『駐車場の維持管理』 と 『修繕積立金などへの繰入』 に使われます。 駐車場収入がこれだけ低いと、将来は値上げする可能性が高いと思います。」 「では、早く売れるように、低すぎる設定をしている訳ですか?」 「あまりに低いと、私は、そういう見方をしますね。」

「あと、これらの資料では、音の問題は分かりかねます。」 「どうすれば分かりますか?設計図書は販売事務所にある、と書かれていますが、見て分かるものでも無いですよね。」 「そうですね。本当は、完成した居室を見るのが良いのですが。」 「でも、今月中には契約ですよ。完成は来年末です。高いものを購入するのに、想像力だけで決めてしまうのでしょうか?」

「現在、殆どのマンションは青田買いです。購入者は、良く分からないことが多くても、『早くしないと売り切れますよ』 というトークに、ついつい早買いをしてしまうようです」

「今は、『買い時』 でしょうか?」

「マンションに限らず住居の購入には、『買い時』 なんてありませんよ。しっかりと家族・親族で話し合って、そこでの生活を想像でき納得できた時が時期だと思います。多少の金利変動に惑わされて衝動買いなどしてはいけませんよ。地価も、地方都市では低下傾向に変わりはありませんから。」

「はい。しっかり話し合ってみましょう。」


専有部分と共有部分

2006年07月27日 | マンション管理士

「マンションは管理を買え」、と聞きますが、どういう意味なのでしょうか?

分譲マンションを購入するとは、区分所有権を得る事です。 区分所有権の対象となる部分を、専有部分と言います。

マンションは専有部分だけで成り立っているのではありません。 階段、エレベーター、廊下、給排水管など、様々な部分と総体になって初めてマンションの機能を発揮します。

こうした専有部分以外を 「共用部分」 と言います。 (法律的には、規約共用部分もあるのですが、説明は割愛します)

一方、マンションには管理組合があります。 今の法では、区分所有者は絶対に管理組合の構成員にならないといけません。 管理組合の構成員でない区分所有者は、法律上存在しないのです。

この管理組合がマンション全体を管理しますが、主として管理するのは共用部分です。 「マンションは管理を買え」 とは、「マンションは管理組合(の取り組み)を買え」 ということです。

管理の行き届いたマンションを買うことを勧める文言です。

専有部分と共用部分に分かれていることを知らなければ、自分達の権利と責任も分かりません。 また、共用部分や共用の設備は所有者全員の共有財産です。 従って、所有者全員で管理していかなければなりません。

マンションの管理とは、区分所有者の意識と言っても過言ではないと考えます。

しかし、現実には、購入してからは管理費さえ払っておけば後のことは専門家がやってくれる、とつい無関心になりがちです。

自分達の資産であり、生活の場です。 安心で安全で快適な生活空間を確保していくにはどうするのか? 資産価値を下げないためには何をすべきなのか? それらは、自分達自身の問題なのです。 管理意識とは、所有者意識・住民意識ですね。

そして。 良い管理をするには、良い管理会社を選択すること。 問題があれば管理会社を変えることも辞さない勇気をもつこと。 そうしたことが、良い管理を育んでいくと思います。


管理会社への不満

2006年07月26日 | マンション管理士

理事さんから受ける相談で。 内容を要約すれば、殆どが今の管理会社の悪口、というケースが目立ちます。

「管理会社は住民の見方なんですよ。それが当然なんです。」 と、ごく普通のことを話すだけで理事さんの目が輝いてきます。 やっと、自分達の主張を理解してもらえる… そういう感じです。

親会社(ディベロッパーです)の方だけを見ている。 住民や管理組合の希望は全く無視、または解決を引き延ばす。 色々な問題は隠そうとする。 特に建物・設備の欠陥は一切認めようとしない。 それが今の管理会社。 何の為の管理委託費なんでしょうか?

切々と訴えられると、胸が痛みます。

この状態は、とってもまずいですね。 強い管理組合になる必要があります。 区分所有者と住民の代表として、意識転換しないといけません。

皆さん方には、問題点を解決できる権利があるんですよ。 皆さんの管理費から管理委託費は支払われています。 権利を主張すべきですよ。 それを個々に言うのではなく、管理組合の決議として主張し、回答を求めましょう。

もちろん、管理会社との良好な関係づくりは大切ですね。 しかし、あくまでも管理会社がプロとして業務遂行することが先決問題です。 それが出来た上での関係づくりですよ。

場合によっては、問題を抱えた管理会社を変更することも出来るのですから。

今の課題を整理して、必要に応じてアンケートの実施を勧めます。

「他の住民の方々は、あまり危機意識を持たれていないようで…」

「課題の明示や、アンケートを実施することで、徐々に皆さんの関心度合いも高まりますよ」

夜も更けましたが、理事さんの熱意は高まって相談は続くようです。


買い時?

2006年07月20日 | マンション管理士

ゼロ金利解除。

「普通預金の金利を上げる」 と記事になるなど、様々な分野に波及しています。 当然に住宅ローンにも影響が出るでしょう。

マンションなど住居に携わってきて、思うこと。 それは、ローンの金利だけで 「買い時」 か否かを判断するのは誤りだということです。

高い買い物です。 購入資金を借りる場合、金利が上がれば返済額も大きくなります。 だから、「買い時」 と勧められるのです。

金利だけで 「買い時」 かを判断するものではありません。 自分の価値観と合っているのか? 家族の本拠地であり、多くの場合は終の棲家になりうるのか? 多くの場合、人生で最も高価な買い物です。

金利の多寡は重要です。 しかし、決定する材料の一つでしかないのです。 あくまでも、家族の気持ちや価値観、将来の夢や希望が詰まったものであるべきなのです。

繰り返しますが、「買い時」 なんてありません。 家族と自分の夢、思いが実現できると思える時。 それが、あなたの 「買い時」 。

特にマンションを購入する時。 自分達の性格や価値観に適合しているのか、良く吟味しましょう。 生活設計と合っているのか。

子どもの人数。 集合住宅での付き合い。 老後の生活。 人生の価値観と融合するのか。 さて。 それからライフプラン。 返済プランが適切かを考える必要があります。 金利計算は、この時に。