マンション管理士日記

地域を守る:マンションと地域の融合

管理会社の立脚点

2006年07月15日 | マンション管理士

管理組合さんからマンション管理士に多い相談内容の一つが、住民側と事業主・売主との 「トラブル」 です。

瑕疵補修請求への対応。 事業主が責任回避しようとする。 設立したばかりで機能出来ない管理組合は、管理会社を頼りにします。

ところが。 多くの場合(県内の80%以上)、管理会社は事業主・売主の系列会社です。

管理組合および住民から見ると、どうも、自分達とは異なる視点で課題に対しているようだ、との相談。 管理組合から管理委託料を払っているにも係わらず、管理組合や住民の利益を考えていない。 むしろ、不利益をもたらすような行動ばかりのように感じる。

永住を考え、高額で購入したマンション。 瑕疵があると本当に不安です。 何故、管理会社はプロフェッショナルとして、素人集団である管理会社をサポートしないのか? 系列である事業主の利益が優先なのか?

相談者である管理組合の理事さんは、不信と不満を訴えられ、そして質問されます。 「管理会社は変えられるのですか?」

変更できます。 分譲時に決まっていた管理会社も管理費も見直すことが可能です。 サービス内容の見直しもできます。

行政窓口や、実績・公平性で信頼できるマンション管理士に相談されることをお勧めします。

また、瑕疵に関する点検は、住民全員にチェック表を渡してマンション全体をチェックしたり、専門家に依頼する、などが重要です。


マンションみらいネット稼働

2006年07月08日 | マンション管理士

(財)マンション管理センターの 「マンションみらいネット」 が、7月3日から稼働を開始しました。 公開サイトの情報閲覧は誰でもできます。 管理組合固有のページにアクセスするには、IDとパスワードが必要です。

公開サイトでは、建物概要・管理委託・組合運営など9ページに分けられています。 自分のマンションの情報が簡単に閲覧できます。 他登録マンションの情報を閲覧して、比較検証することも可能になります。

また、組合専用サイトでは、組合内部のコミュニケーションツールとして利用できるメニューがあります。

「マンション案内」 では、自分たちのマンションの登録情報を全て閲覧できます。 これを見てもらうことで、管理組合の運営状況を知ってもらえます。

「電子掲示板」 は、理事会から組合員へのお知らせをすることが出来ます。 新しい形態で情報提供ができます。

「スケジュール」 に管理組合の予定を登録することで、相互確認ができます。 その上、登録内容は5年間保存されますから、引き継ぎや過去の確認にはとっても有効なツールになりそうです。

「組合図書室」 。 文書を電子化すれば、組合専用サイトで閲覧できます。 登録全マンションの平均値との比較などもできます。

このように、多彩な機能が付いた 「マンションみらいネット」 です。 現在は、登録マンションが少ないのが残念です。 福岡県内のマンションは全部で15棟が登録。 内、北九州市内のマンションでは5棟です。

私自身は、市内のマンション1棟を登録しました。 データ作成は、過去の書類などを引っ張り出すので、少し手間が掛かります。 しかし、稼働してみると、容易に各種データが閲覧できます。 便利な機能も多く、「登録して良かった」 と組合理事さんから感謝されています。


死なない団地

2006年06月26日 | マンション管理士

凄い雨です。 アーケードを通って来ました。 湿度が高く、なんだか水の中を歩いているような感覚に陥りました。

さて。 「バカの壁」 著者の養老孟司さん。 その続編とも言える 「死の壁」 に書かれた内容の一部を紹介します。

養老さんが、ある巨大団地の12階から棺を降ろすことになって。 棺をエレベーターに載せようとしたら、入りきれない。 階段で降りるにしても、12階では大変です。 結局、生きているとき同様に立って乗って頂くことにしたそうです。

つまり、棺を垂直に立てて載せて運んだわけです。 そのときに、「この建物は人が死ぬことを考慮していない」 と感じたそうです。

その後、当該団地を設計した人と話す機会を得たそうです。 この話をしてみました。 すると、「あそこ(当該団地)は、若い夫婦が郊外に一戸建てを買うまでの間住むところという想定で作ったのです。ある程度お金が貯まったら出ていくのです。」 そう言われたそうです。

ここからは養老さんの感想。

やはり、設計者は、そこで人が死ぬということを想定していなかったのです。 しかし、いくら若い夫婦が住むと言っても、何千人も住む団地で人が死なないはずはありません。

にもかかわらず、死を想定していない。 都市とは、人間が死ぬという自然の摂理を排除して作り上げたもの、人間が脳で考え形となって現れたもの…

そして、その巨大団地が 「自殺の名所」 といわれて飛び降り自殺をする人が絶えないというのは、一種の復讐のような行為と解釈することができないでしょうか? 一体、なんておかしなものを作ってくれたんだ、ということなのです…

私は、高層マンションでの子育てに疑問と不安を持っています。 この本を読んでみても、何か高層建物は危ないという感覚が強まります。


管理組合 理事さんの悩み ④

2006年06月25日 | マンション管理士

エレベーターの管理契約

安全性についての関心が高まっています。 保守管理業務する業者は二つに大別されます。 メーカー系列業者、そして独立系の業者です。

マンション新築時にはメーカー系と契約することが多いのです。

エレベーター保守費用は、マンション管理費に占める比率が高いので、管理費用の削減に着手すると、必ず見直し検討の対象となります。

保守・点検・改修と費用の内訳が複雑で、適正価格が分かりにくいのが実情です。

価格だけではなく、安全性を重視することが必須です。 価格重視で契約業者を次々に変えると責任の所在があいまいになってしまいます。 また、費用の掛かる改修を先送りにされる恐れもあります。

一方で、メーカー系から独立系に契約変更の際に、業者間の引き継ぎが為されないケースや、図面を持ち去るケースもあります。 図面など必要資料一式は管理組合が所有すべき財産です。

業者選定の根拠や情報・資料の保管をきちんとしておかないと、事故が起きた場合に、管理組合の責任を問われかねないのです。

住民の立場でサポート・助言してくれるマンション管理士などを活用することをお勧めします。


管理組合 理事さんの悩み ③

2006年06月21日 | マンション管理士

住民同士のトラブル

マンション生活のトラブルで最も多いのは 「居住者間のマナー」 です。 具体的には、「生活騒音」、「ペット飼育」、「違法駐車(輪)」 が挙げられます。

生活騒音 : 共同住宅である限り、さまざまな生活騒音が発生します。 音に対する感じ方や耐えられるレベルは人によって差異があります。

騒音トラブルが起きた場合は、当事者同士の言い分だけではなく、客観的な判断が必要となります。 必要な判断材料はケースによって異なります。 信頼できるマンション管理士に相談してください。

話し合いが感情的にならないよう、また、理事さんが、片方だけに肩入れをしないよう、冷静な対処が求められます。

トラブルを未然に防ぎ、大きくしないためには、管理規約や使用細則での細かな定めが重要になります。 また、独自の生活ルールなども有効な対策です。

ペット飼育 : 管理規約や使用細則で、ペット飼育に関する規定を定めることが何より大切です。 もし規定が無いようでしたら、いずれトラブルが表面化してきます。

先ずは、管理組合の方針が必要です。 現状や希望についての住民意向を把握することが大切です。

特に、許可する場合には、ペットの範囲(種類・大きさ・数など)や飼育のルールを細かく・具体的に決めるべきです。

違法駐車(輪) : 理事会で定期的な巡回を行い、駐車違反をチェックし、常習者には警告票を出すのも有効です。 警告しても止めない時は、持ち主の氏名を公表することを通知します。

放置自転車が多い場合に効果的なのは、自転車の登録制によるステッカー貼付です。 使われていない自転車が簡単にわかります。 放置自転車には、通知書を付けておきます。 通知書には、一定期間内に登録や撤去が無い場合には、管理組合で処分すること、通知書貼付の日時を明記します。

通知日時が過ぎたら、管轄の警察署で盗難届の有無を確認します。 所有者が判明すれば、警察から本人に通知をしてもらいます。

所有者不明の自転車は遺失物として届け出をします。 保管期間(原則、6ヶ月)を過ぎれば、管理組合で処分できます。

管理組合で何台かの自転車を所有して、住民が使うときにレンタルする方法も大きな改善に繋がります。 レンタル方式には、日頃からのコミュニケーションが必要ですね。