遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

面白古文書『吾妻美屋稀』10.「いろはうたつヾきもんく酒ろん餅ろん後編」

2023年08月02日 | おもしろ古文書

面白古文書『吾妻美屋稀』「いろはうたつヾきもんく酒ろん餅ろん」です。下戸から上戸へ、上戸から下戸へ、それぞれ、いろは64文字のいろは歌で意見をするというものです。今回は 、先の下戸から上戸への意見に対して、上戸から下戸への反論です。

右半分と左半分に分けて。

 いろはうたつヾきもんく酒ろん餅ろん後編

〇上戸のかたより下戸のかたへ返言(上戸の方より下戸の方へ返言)

い いけんといひていろはうた(意見と言いていろはうた)

ろ ろくなこころとよミたれバ(ロクな心と詠みたれば)

は はらすぢいたきことどもを(腹筋痛き事どもを)

に につたらしげにかきちらし(憎たらしげに書き散らし)

ほ ほねをりなされしかミついゑ(骨折りなされし紙費え)

へ へたな長文よしなしと(下手な長文よしなしと)

と とく/\へんじもふすなり(得々返事も付すなり)

ち ちゑある人ハさけをすく(知恵ある人は酒を好く)

り りうはくりんをはドめとし(龍は九輪を歯止めとし)

ぬ ぬしある人もきヽたまへ(主ある人も聞きたまえ)

る るい代其なのたかきこと(累代その名の高きこと)

を おもへバ上戸のほまれなり(思えば上戸の誉れなり)

わ わが日の本のならわしも(我が日の本の習わしも)

か かミハみきにてまつるぞや(神は神酒にて祀るぞよ)

よ よろこびいはひことぶきも(喜び祝い寿も)

た たれもさかづきとじざらん(誰も盃閉じざらん)

れ れいぎハ酒のしだいなり(礼儀は酒の次第なり)

そ それのミならずよしつねの(それのみならず良し常の)

つ 月見はなミやゆふすヾミ(月見花見や夕涼み)

ね ねんきふつじやしうきこと(年季仏事祝儀事)

 

な なくてならぬハさけぞかし(なくてはならぬは酒ぞかし)

ら らんぷおんぎよくじやうるりも(乱舞音曲浄瑠璃も)

む むねんむそうのげんきにて(無念無想の元気にて)

う うさもつらさもわすれはて(憂さも辛さも忘れはて)

ゐ ゐのちをのぶるこのくすり(命をのぶるこの薬)

の のまぬハなんのゐんぐハぞや(飲まぬは何の因果ぞや)

於 おんなハこヽろせまければ(女は心狭ければ)

く くろうきづかひつもりつヽ(苦労気遣い積もりつつ)

や やまひとなるもこのさけハ(病となるもこの酒は)

ま また事もなきくすりぞや(また事も無き薬ぞや)

け けんくわの中をなをすこと(喧嘩の仲を直すこと)

ふ ふゆのさむさをしのぐにも(冬の寒さを凌ぐにも)

こ これミな酒のきどくなり(これみな酒の奇特なり)

江 えひてのたまのきやうがいを(酔ひてのたまの境涯を)

て てんじかへたるたのしミを(転じ変えたる楽しみを)

あ あハれやしらぬ下戸しゆハ(哀れや知らぬ下戸衆は)

さ さけのざしきのかたすミに(酒の座敷の片隅に)

き きうくつさかに身をちゞめ(窮屈さ堪忍身を縮め)
【かに】堪忍。耐えること。

ゆ ゆるせ/\とてをすりて(許せ許せと手をすりて)
 
め めいわくしごくなためいきハ(迷惑至極な溜息は)

み 見る目もうたてしやうしさよ(見る目もうたて笑止さよ)

志 しかもさかなハひとなミに(しかも肴は人並みに)

ゑ ゑりきらひなくきこしめす(選り嫌いなく聞し召す)
【聞し召す】召しあがる

ひ 人まじわりをするときハ(人交わりをする時は)

も もちでしうきかなるものか(餅で祝儀がなるものか)

せ せめてをり/\ふたつミつ(せめて折々二つ三つ)

す すハれぬこともあるまいに(座れぬ事もあるまいに)

京 京から〇〇〇なさるべし

 

 

面白古文書『吾妻美屋稀』も、何とか半分までこぎつけました。かなりの疲労度。ブログ読者もお疲れでしょう。ここらで一服。残りはしばらくしてから。

以降、陶磁器や仮面をまじえながら、「文人書画」などのブログを、例によってとりとめもなく書いていきます(^^;  またか、と言われそうなので、新たなテーマにも挑戦したいと思っています(^.^)

 

コメント (6)
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