陶胎七宝の小皿、5枚です。
模様にわずかの違いがありますが、すべて波千鳥紋です。
口径 10.7㎝、高台径 5.5㎝、高 2.3㎝。重 111g。明治初期。
胎土は、これまで紹介してきた薩摩系の土とはことなり、くすんだクリーム色の半陶半磁の陶土です。
裏面には、非常に細かいジカンがびっしり見られます。
高台は付け高台、内側には所々に細かい砂が付着しています。
外縁に2本、高台付近に2本の圏線が、くすんだ色の呉須で描かれています。このように染付けを併用した陶胎七宝は、初見です。
どこで生産された品か、全く見当がつきません。
七宝部を見てみます。
やはり、これまでの京薩摩、錦光山系の陶胎七宝とは異なるようです。
外周を、幾何学模様でぐるりと囲み、中央に波千鳥紋を描いています。白で千鳥、岩、波しぶき(白〇)を、青で海、波しぶき(青〇)を表しています。
中央右下には、ぐるっと囲んだ黄〇が途切れて、波が押し寄せている様子が表されています。芸が細かいですね(^.^)
七宝釉の入ったヒビと金属植線の模様が呼応しあって、面白い効果を出しています。
顕微拡大してみます。
岩(白)に丸いしぶき(青)。
千鳥の下の部分。
植線は、青の海にまで伸びています。
氷裂模様のようです。海は、このような模様で埋まっています。何でもないようにみえる模様ですが、植線で、きちんとした形ではなく、不定形模様を表すのは非常に難しいです。
大変毛色の変わった陶胎七宝です。
小さなわりに手が込んでいる・・・・輸出品ではなく、国内向けの品でしょう。