先回に引き続き、江戸後期から幕末、明治初期に活躍した美濃の南画家、村瀬秋水の山水画です。
全体:64.1㎝x211.5㎝、本紙(紙本):48.0㎝x170.7㎝。明治五年。
有名な養老の滝を描いた水墨画です。
古くから歌に詠まれ、画題としても多く取り上げられてきました。さらに孝行息子のお話しも、さして大きくないこの滝を全国版に押し上げました。
瀧脇の楼には、文人墨客が集い、浮世の憂さを晴らしたそうです。
ブログで2回にわたって紹介した水墨画は、いずれも村瀬秋水、晩年の作です。先回の『寒江獨釣図』は、地元、美濃の長良川に、今回の『養老の滝図』は、西濃、養老山地など身近な風景を基に、文人が隠棲する理想郷を求めた村瀬秋水は、地味ながらも、美濃を代表する文人画家といえるのではないでしょうか。