鉄製の香炉です。
幅 7.9㎝x高 6.4㎝、重 507g
それほど古い品ではありませんが、よく使われています。
全体に、香の匂いがしみついています。
裏も、いたって簡素。
銘がありますが、読めません。
この香炉の最大の特徴は、煙の出る穴です。
香炉の煙出しの形式は、2つに大別されます。
一つは、今回の香炉のように、蓋があって、そこから煙が出るもの、もう一つは、先に紹介した寿老人のったり香炉のように、本体のどこかに穴をあけてあるものです。
陶磁器の香炉では、銀蓋をしつらえてある物が多いですが、これは前者の形式です。
いずれにしても、この形式では、蓋に力をいれます。
この鉄香炉の蓋も、溶岩が沸騰しているような形をしています。
不思議な造形です。
鋳造であることは間違いないのですが、この炎のような部分は、どうやって作るのでしょうか。後で、この部分だけ加熱して熔かすのでしょうか。
いつのまにやら香炉もあれこれと数集めてしまいましたが、実際に私が使っているのは、もっぱら今回の品です。
鉄ですから当然重いです。この安定感が、火をつかう香炉では重要です。ちなみに、寿老人香炉はすぐ倒れます(^^;
それから、手でふれた時の感触。鉄の冷たさを感じさせないまろやさです。
みかけはパッとしないが、安心して事を任せられる。
朴訥だけれども、そこはかとしたあたたかさが。
そんな香炉に私はなりたい(^_^)
当然ながら、鉄でも香炉は作れるんでしょうから、存在はするはずでしょうけれど、私は見たことがないように思います?
もっとも、私が知らないだけで、結構、あるんですか、、?
確かに、この香炉の蓋の溶岩が沸騰しているような状態の形は、どのようにして作るんでしょうね?
鉄香炉は少ないです。水滴もまったく同じです。
やはり、鉄は武骨だからでしょう。
今回の品は、その点、よくできていると思います。
溶岩の沸騰みたいな形、どう考えても型では無理ですよね・・・・・・・・
とコメントを書きながら、もう一度、シゲシゲと眺めてみました。
すると、溶岩の周囲がぐるッと、数㎜の高さで丸くなめらかになっているではありませんか。
想像を逞しくすると、見えてきました(^.^)
まず最初に、低いドーム型のUFOみたいな蓋を鋳造し、その後、強力なバーナーでUFOのドーム部分を熔かしたのだと思います(^_^)
それで納得です(^-^;
今夜は、ゆっくり眠れそうです(笑)。