遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

大徳寺四四四世諦道宗當『且坐喫茶底』

2023年08月26日 | 文人書画

今回の書は、いわゆる大徳寺物の書軸です。

全体、35.6㎝x172.6㎝、本紙、27.3㎝x100.7㎝。江戸時代後期。

筆者は、大徳寺444世、諦道宗當。

諦道宗當(安永四(1775)ー天保七(1836)。日向生。臨済宗の僧。自号は閑眠子。大徳寺444世。

軸の書『且坐喫茶底』は禅語です。

元々は、あの有名な長谷川等伯『利休居士像』(重要文化財)に書かれた春屋宗園の讃によります。

(『利休居士像』長谷川等伯筆、春屋宗園讃)

 

頭上巾兼手中扇、儼然遺像 旧時姿、
趙州且坐喫茶底、若不斯翁争得知

頭上の巾、兼ねて手中の扇、儼然たる遺像、旧時の姿、趙州(和尚)の且坐喫茶の底、若し斯翁あらずんば争(いかで)か知るを得ん

『且坐喫茶底(しゅざきっさてい)』は、4文字禅語『且坐喫茶』として使われる方が多いです。『且坐喫茶(しゃざきっさ)』の読みは、「且(しばら)く坐して茶を喫せよ」、したがってその意味は、「まあ座って、お茶でも飲みましょう」となります。「底」は、「極み」の意ですが、『喫茶去』の「去」と同じく、語の意味を強調するために使われていると思います。ですから、『且坐喫茶底』は、『喫茶去』とほぼ同じと考えて良いでしょう。

『且坐喫茶底』と『喫茶去』は、いずれも、趙州和尚による禅語です。

ただ、『且坐喫茶底』は、大徳春屋国師 が茶聖、利休の肖像におくった讃です。その中で、利休がいなかったら、『且坐喫茶底』を知ることはなかっただろうと述べています。スーパースター利休のお墨付きです。茶掛けの禅語としては、『喫茶去』よりマイナーな『且坐喫茶底』の方が、有難味は大きいのかも知れませんね(^.^)

 


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6 コメント

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Unknown (1948219suisen)
2023-08-26 09:25:43
また個性的な文字でございますね。特に最後の底の文字は間違えて書いたのではないかと思えるほどでございます。遅生さんの解説がございましたから、この掛け軸の意味がわかりましたし、同時に千利休の茶道の心得も味わわせていただくことができました。
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1948219suisenさんへ (遅生)
2023-08-26 12:26:57
お坊さんたちの書は、また独特ですね。それぞれが独自性を発揮して、禅の心を書にこめねばならないからです。そういった作意が感じらるうちはマダマダなのでしょう ・・・・・
などと、エラソウな事を言っているうちは、マダマダなのですね(^^;
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遅生さんへ (Dr.K)
2023-08-26 13:29:09
大徳寺物にしては、大きな軸ですし、文字も力強く、個性的に感じました。
もっとも、良くも知らないで、勝手に言っているにすぎませんが、、、(~_~;)

四四四世というのも、また、キリ番(失礼)で、価値を添えますね(^_^)
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Dr.Kさんへ (遅生)
2023-08-26 14:44:15
大徳寺の〇〇世というのは、ものすごい数にのぼります。最初は、一日だけの大徳寺住職、次が、前住大徳、さらに再住大徳となって、やっと歴代大徳寺住持の世譜〇〇〇世となるそうです。それでもかなりの大量生産ですから、〇〇〇世と3桁もありなのですね。
その中で、ゾロ目の大徳寺住持はアタリですね(^.^)
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Unknown (クリン)
2023-08-27 11:55:57
ええええーーーー!!!🐻⚡⚡
この一番有名な千利休像って、長谷川等伯が描いた肖像画だったのですか!!!(うちのチット、この肖像画を年中見ていますが気がついておりませんでした💦茶道も習っていたけど気がついてないです!・・さすがうちのチット💡)
ハリツケにされた木像といい、大徳寺は利休の良いものをたくさんお持ちなんですね💎
しゅざきっさてい・・・「底」とまで言われると、座った後に相当長い話が待っているような気がします!
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クリンちゃんへ (遅生)
2023-08-27 18:42:22
いやー、実をいうと、私も今回のブログを書くまで、利休のこの絵が長谷川等伯筆だとは、夢にも思っていませんでした(^^;
考えてみれば、当時の画家の力量は相当なものですから、風景画専門とするのはおかしな話だったのですね。知らず知らずのうちにできた思い込みとはいえ、これはイカン(^^;
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