遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

祝!ブログ3周年! 法花三彩樹下人物紋瓶子 ~堤の威力~

2022年01月08日 | 古陶磁ー中国

今日は、Yahooブログから通算3年目にあたります。

いつものガラクタとはチョッと次元の違う品をアップせねばと奥の院をさぐりました。

でてきたのがこれ。

立派な杉箱に入っています。入手してから20年以上たっているのに、蓋を開けると・・・

プーんと、杉の香りが鼻に届きます。

中には、中型の瓶子が入っています。

『明三彩法花瓶子』

最大径 13.7㎝、口径 4.3㎝、底径 9.2㎝、高 20.7㎝。中国明時代。

法花は、中国明代におこった三彩の一種です。筒書きで模様の輪郭をとり、その内側へ紫、黄、緑、青などの低火度色釉を塗り、焼成した物です。このようにすると、釉薬が混じらず、器体に絵画風の表現が可能になります。有線七宝が金属の植線によって七宝釉の混ざりを防ぎ、細かな模様を出すのと同じです。友禅染の糸目糊も同じ役目を果たしています。唐三彩が、馬や駱駝などの器体を三彩で装飾し、色のまじりを味わうのとは対照的です。

今回の品は、上質の磁器上に、筒描きで白釉を線状に盛り、淡い紫、緑、黄茶の三色釉薬を施して、松の大樹の下に四人の人物が表されています。
松の葉などは、筒描きではなく、貼花です。
白釉輪郭線と貼花の凸凹が、器表に描かれた絵模様に奥行きを与えています。

 

瓶子の肩には、下の模様が四組ぐるっと回っています。

下部の模様は、饕餮紋(とうてつもん)?

底や口縁内は、緑釉で薄く塗られています。

紫釉部には、見事な窯変が現れています。

 

毎日のように、そっと持って帰る品物に対して、誰かさんは、ほとんど関心を示しません。またか、というリアクションも、もはや面倒なのでしょう(^^;
しかし、極々々まれに、「これは人に見せるな」とおっしゃる品があります。
目垢がつく、下手するとゆずってしまう、との懸念からでしょう。
そのような品はこれまでわずかに3ツ。法花三彩樹下人物紋瓶子、古九谷尺皿、伊藤若冲・水墨親子鶏図です。

法花とは、釉薬の堤防でぐるっと囲い、他の釉が入ってこないようにする技法です。
誰かさんの周りには、法花と同じように堤防がめぐらされ、外からのガラクタを撥ねつけるようになっています。その堤は非常に高く頑丈です。チョッとやそっとの品では乗り越えられません。

堤防の上には札がたっていて、何やら書かれています。
一、アンタは人が良いので、骨董屋で偽物をつかまされる。
一、アンタは欲が深いので、ネットで贋物をつかんでくる。
この立札により、99.9%の品物ははねられるのであります(^^;

法花も、故玩館も、堤の威力は絶大です(^.^)

 

 

 


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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (イケリン)
2022-01-08 14:46:21
遅生さん
堤防上の立て札強烈ですねぇ。
おそらく99%その通りなんでしょう。(笑)
きっと高い授業料を払い続けてこられたことなのでしょう。
立て札があっても、一向にこたえないのが道楽者のサガですね。(^^;;
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守られてますね(*^^*) (ゆり)
2022-01-08 14:57:57
こんにちは。

ウフフですが、堅牢な堤は良いことです(^_-)-☆

明三彩法花瓶子は素晴らしいですね~~
こうして見せていただき有難うございます。

そして3周年おめでとうございます。
°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
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イケリンさんへ (遅生)
2022-01-08 16:03:28
あまりにも的確なので、ぐうの音も出ません。
しかし、ここで植木等の登場です。
♫♪~わかっちゃいるけどやめられない~♫♪
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ゆりさんへ (遅生)
2022-01-08 16:12:09
堤でも鎧でも、頑強であればあるほど身を守るには良いですが、その分、融通がきかない、身動きがとれない(^^;・・・・ここだけの話ですが(^.^)

おかげさまで、石の上にも3年になりました(^.^)
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Unknown (tkgmzt2902)
2022-01-08 19:50:43
出またしたねぇ!大物が!
解説を読んでも焼き方がなかなか理解できませんが、
複雑極まりない凹凸にほんとに焼き物?と何度も見ています。
こういうのは復元できるのてすか?
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遅生さんへ (Dr.K)
2022-01-08 19:55:42
ブログ通算3年目、おめでとうございます(^-^*)
故玩館は、収蔵品が多いですね。まだまだ、お宝が続々と登場してきますね(^_^)
私のところは、既に登場させるものが枯渇してしまいました(~_~;)
それに反し、故玩館では、どんどんとレベルの高いものが登場してきますね(^_^)

このような、法花というようなものは美術館でしか見ることが出来ないものですよね(^-^*)
しかも、レベルの低い美術館では見ることが叶わず、レベルの高い専門的な美術館でしか見ることが出来ませんね(^_^)

当面、あと2点、一流美術館級のものが控えているようですね(^_^)
そのうちに紹介されることを楽しみにしています(^-^*)

私のところでは、そっと持ち帰っても、殆ど関心を払わず、立札も立てません(~_~;) 
それは、どうせお金もないので立派な物を持ち帰るはずがない、持ち帰るのはガラクタに決まっていると決め込んでいるからです(><)
でも、長いことやっていますと、0.1%の確率でもお宝が潜り込んできますから、骨董はやめられませんね(~_~;)
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tkgmzt2902さんへ (遅生)
2022-01-08 20:08:55
法花の本物は少ないです。コピー品は多くあります。何せ中国は何でも有りですから(^^;

凸の土手でぐるっと囲って、その内側に色釉をさせば、隣の色と混じり合わないという単純な原理です。ただ、土手で囲う手間がかかります。このような凸線を釉薬で描くのをイッチンというのですが、この手法自体は、日本の民芸陶器にあります。でも、土手で囲って内に色釉をさすことは、日本では行われていません。
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目の保養 (美恵子)
2022-01-08 20:42:46
凄いものですね。
目の保養させていただきました。
次から次にと、お宝が出てきて毎日楽しみにさせていただきます。
堤・・・・・ですか。
奥が深い世界ですね。
ブログ開設3年おめでとうございます。
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Dr.Kさんへ (遅生)
2022-01-08 21:32:18
いつの間にか3年が経ちました。Drのブログからは、いろいろと勉強させていただきました(^.^)

故玩館のウリは、間口の広さと中にある品物の種類の多さです。要するに、雑多。泥棒さんが入ったとしても、持って出る品物を選るのに相当戸惑うと思います(^^;
そういう意味では迷品揃いです(^.^)

もう表立ってはチェックをしていないと思うので、ソッと持ち帰る必要はないのですが、長年の習慣で、今でもソッと持ち帰っています(^.^)
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美恵子さんへ (遅生)
2022-01-08 21:39:13
ありがとうございます。
石の上にも3年です。
ブログネタには、相変わらず頭を悩ませています。

楽器の鼓は何とか打てますが、人工の堤の方はなすすべがありません(^^;
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