遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

大皿・大鉢・壷23 伊万里ベロ藍輪花花紋大皿 ~姫路城で受渡し~

2022年01月12日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

今回の品は、ベロ藍の輪花大皿です。

径 48.6㎝、高台径 28.3㎝、高 6.8㎝。明治。

ベロ藍とは、それまで染付に使われていた天然呉須にかわって、化学的に作られらた青色顔料(酸化コバルト)です。ドイツのベルリンで作られたことから、ベルリン・ブルーと呼ばれ、それがなまってベロ藍と呼ばれるようになりました。ベロ藍が、陶磁器に使われるようになったのは明治初期、その明るい色調が文明開化の雰囲気とマッチしたので、爆発的に流行しました。

この品には、何が描かれているのかわからないほど、ベロ藍がふんだんに使われています。

非常に大きな皿で一見、複雑な図柄に見えますが、

4回対称の模様になっています。

よくみると、基本的な模様は花ですね。

 

裏側には・・・

大きな目跡が5つ。

高台内の銘は「青」? この印は、幕末期伊万里の皿で見たことがあるような気がします。

幕末ー明治にありそうな裏模様。高台疂付にはうっすらと緋色が出ています。

実は、この皿は、もらい物です。

故玩館をオープンしてしばらくたって、四国の叔母(妻方)から電話がありました。「ウチにも古い皿があるから、展示したら」・・・話から推して、明治のベロ藍のようです。今さら、ベロ藍でもないし・・・と二の足を踏んでいたら、「今度、姫路へ行くのでそこで渡す」と、もう、スケジュールまで決まっていたのでした(^^;  姫路城観光のバス旅行があり、それで来るのとこと。致し方ない、ま、ついでに姫路城見物も悪くないな、ということで、新幹線で姫路へ。観光バスの駐車場へ行ってビックリ。ものすごい数の大型バスがずらり。やっとのことでさがしあてました。他の乗客はお城見物へでかけ、バスの中には叔母一人。運転手さんに、荷物を出してもらって、その大きさにまたビックリ。しかも、完璧に包装されているではありませんか。「このまま宅配で送ればよかったのに」に対して、「宅配は信用できん」とのお言葉。ごもっとも(^^;  で、姫路城は?「もう行く気がせん」とのお言葉。確かに、お城ははるか彼方です。そう思うと、我われも行く気が失せました。結局、巨大な皿を抱えて、そのまま新幹線で帰路につきました。それにしても、昭和一桁世代の女性、恐るべし(^.^)

ベロ藍の陶磁器は、明治時代に流行しました。技法的には、染付と印判手があり、今回の品は染付です。問題は産地です。当時、これだけの大きさの磁器皿を作れるのは、伊万里か瀬戸・美濃。まだ流通が発達していない時期ですから、瀬戸・美濃では遠すぎます。四国松山で賄ったとすれば、やはり、伊万里とみて良いのではないでしょうか。他に砥部焼も考えられますが、もしそうならば、「これは砥部だ」というふうに、伝来するはずです。というのも、伊予の人たちにとって、砥部焼は特別の意味をもっているらしいからです。叔母が何も講釈をつけなかったことからしても、今回の品は、「ベロ藍伊万里大皿」ですね(^.^)

 

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『法花三彩樹下人物紋瓶子』の美をミクロに探る

2022年01月10日 | 古陶磁ー中国

先回のブログで紹介した『法花三彩樹下人物紋瓶子』です。

法花は珍しいとはいえ、写真で見る限り、それほどの品の様には思えません(^^;  

白釉で堤を築いて、ぐるっと囲んだ中に色釉をさす手間は相当なものですが、色釉は薄いし、パッとした感じがしないからです(^^;

そこで、顕微装置の助けを借りて、ミクロな眼でこの品を見てみることにしました。

まず、この品に一番特徴的な窯変です。紫釉が塗られた胴の中央部分や肩部には、ムラムラとした模様が表れています。

大きな窯変模様の周囲には、小さな点が散らばっています。

この点々を拡大すると・・・・

これは結晶ですね。おそらく、マンガン。

紫釉の中に含まれるマンガンが、溶融した状態から冷えて結晶となって析出したものと考えられます。

大きな窯変部を拡大すると・・

大陸の海岸線を上空から眺めているかのようです(^.^)

顕微装置のLED照明の関係でしょうか、紫釉はダークブルーに見えます。

 

瓶子の肩部には、小さな丸(2‐3㎜)模様が貼花で施されています。

少し大きくすると・・

さらに拡大すると・・・

どうやってこれを作るのでしょうか?手の込んだ造形です。

さらに、周りをマンガンの結晶が取り囲んでいます。新発見の惑星か(^^:

 

饕餮紋はどうでしょうか。

白釉の堤が印象的です。

その特徴は、玉と見間違うような潤んだ肌合いです。無造作に築かれた白ペンキ塗りのコンクリート堤ではなく、生き物のような躍動感のある堤です。白釉の堤は、外と内を隔てることなく、内外の色釉と一体となって独特の風景を作り出しています。

貼花の丸(3‐4㎜)には、虹彩がみられます。

 

次は、胴の部分です。

男(高士?)の顔。

松の葉。

松の幹。

いずれも、生き生きとしています。

 

最後は、瓶子の底です。

非常に薄くしか緑釉が掛かっていません。所々に、白い素地がのぞいています。

しかし、全面に虹彩がみられます。

そして、拡大して見ると・・・

驚きの光景が広がります。

下の方のバブルの海は素地の白い部分、上の虹色部は緑釉。

緑釉の中に湧き上がる虹色の玉。

白い素地は、バブルの平原です。 

 

今回の品では、ミクロの目をつかって、肉眼では想像もできなかった豊かな世界の広がりをみることができました。

色釉が完全に熔けていて、それぞれの色彩が調和し、美しい風景ができあがっています。さらに、紫釉中に析出した結晶が、変化のある景色をつくっています。また、白の美しさは格別です。法花の特徴である白釉の潤んだ肌と白い素地の上に展開される泡の海。いずれも、単なる白色を越えた美しさです。

我々の肉眼でこのような美しさを直接見ることはできませんが、これらの微細な風景が集まって出来上がったこの品に接する時、何ともいえない落ち着いた趣きを感じるのではないでしょうか。

法花は、素地によって、陶器と磁器の二種に大別できます。今回の品は純白の磁器です。各種の細工や焼成などから、高度の技術が使われていることがわかります。『法花三彩樹下人物紋瓶子』は、景徳鎮製の可能性も(^.^)

 

 

 

 

 

 

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祝!ブログ3周年! 法花三彩樹下人物紋瓶子 ~堤の威力~

2022年01月08日 | 古陶磁ー中国

今日は、Yahooブログから通算3年目にあたります。

いつものガラクタとはチョッと次元の違う品をアップせねばと奥の院をさぐりました。

でてきたのがこれ。

立派な杉箱に入っています。入手してから20年以上たっているのに、蓋を開けると・・・

プーんと、杉の香りが鼻に届きます。

中には、中型の瓶子が入っています。

『明三彩法花瓶子』

最大径 13.7㎝、口径 4.3㎝、底径 9.2㎝、高 20.7㎝。中国明時代。

法花は、中国明代におこった三彩の一種です。筒書きで模様の輪郭をとり、その内側へ紫、黄、緑、青などの低火度色釉を塗り、焼成した物です。このようにすると、釉薬が混じらず、器体に絵画風の表現が可能になります。有線七宝が金属の植線によって七宝釉の混ざりを防ぎ、細かな模様を出すのと同じです。友禅染の糸目糊も同じ役目を果たしています。唐三彩が、馬や駱駝などの器体を三彩で装飾し、色のまじりを味わうのとは対照的です。

今回の品は、上質の磁器上に、筒描きで白釉を線状に盛り、淡い紫、緑、黄茶の三色釉薬を施して、松の大樹の下に四人の人物が表されています。
松の葉などは、筒描きではなく、貼花です。
白釉輪郭線と貼花の凸凹が、器表に描かれた絵模様に奥行きを与えています。

 

瓶子の肩には、下の模様が四組ぐるっと回っています。

下部の模様は、饕餮紋(とうてつもん)?

底や口縁内は、緑釉で薄く塗られています。

紫釉部には、見事な窯変が現れています。

 

毎日のように、そっと持って帰る品物に対して、誰かさんは、ほとんど関心を示しません。またか、というリアクションも、もはや面倒なのでしょう(^^;
しかし、極々々まれに、「これは人に見せるな」とおっしゃる品があります。
目垢がつく、下手するとゆずってしまう、との懸念からでしょう。
そのような品はこれまでわずかに3ツ。法花三彩樹下人物紋瓶子、古九谷尺皿、伊藤若冲・水墨親子鶏図です。

法花とは、釉薬の堤防でぐるっと囲い、他の釉が入ってこないようにする技法です。
誰かさんの周りには、法花と同じように堤防がめぐらされ、外からのガラクタを撥ねつけるようになっています。その堤は非常に高く頑丈です。チョッとやそっとの品では乗り越えられません。

堤防の上には札がたっていて、何やら書かれています。
一、アンタは人が良いので、骨董屋で偽物をつかまされる。
一、アンタは欲が深いので、ネットで贋物をつかんでくる。
この立札により、99.9%の品物ははねられるのであります(^^;

法花も、故玩館も、堤の威力は絶大です(^.^)

 

 

 

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大皿・大鉢・壷22 呉須赤絵大皿の劣化は最初から!?

2022年01月06日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

これまで、中国明末の呉須赤絵をいくつか紹介してきました。

くすんだ器肌に奔放な絵付けが、日本人の詫び寂び感に合うので、大切にされてきました。一方で、呉須赤絵には疵や擦れが多く見られます。それらも、詫び寂び感を増すのに役立っているのかもしれません。

今回、呉須赤絵を眺めているうちに、はたしてこの疵や擦れは、使用に伴ってできたものかどうか、という疑問がわいてきました。

私は、呉須赤絵の擦れや剥がれが多いのは赤絵の宿命だとずっと思ってきました。それは、古九谷とよばれる色絵磁器についての私のイメージからきています。透明な上釉の上にぶ厚く色釉が塗られた古九谷では、色釉が年月が経つうちに剝脱する事が多くあります。呉須赤絵も同じだろうと勝手に思っていたのです。

呉須赤絵魚藻紋大皿:

確かに、呉須赤絵は小傷が多いです。

緑釉や黒線が薄くなっています。

緑釉、黒線の剥がれが目立ち、草花の赤線はぼやけている。

外周の黒縦紋がひどく剝脱しています。

黒線と緑釉が、スパっと切り取られたかのよう。

 

印判手天下一乾坤気象文字大皿:

印判文の赤線が所々、薄くなっています。

薄くなっていない部分を拡大して見ると、赤線は、透明釉の下にあることがわかります。私は、呉須赤絵の赤線も、古九谷と同じように、上釉の上に描かれているとばかり思っていました^^;)  そうではなくて、呉須赤絵の赤絵は、釉下彩だったのです。表面に筋状の傷がいくつかあり、赤部分が白くなっています。しかし、他の赤絵部を見ると、このような傷はわずかです。

では、赤線がかなり薄くなっている部分はというと・・・

小さな白点がたくさん連なったように、赤が抜けています。また、上釉には、丸い穴がたくさんあいています。

赤部の色落ちが少ない所でも、上釉は相当濁っています。熔けきっていないようです。

赤色がかなり抜けた所には、小さな破片のような物がいっぱい散らばっています。

以上、赤色部の上には上釉が掛かっていて、表面の傷によって釉下の赤部が擦れることは考え難いです。また、赤色の抜け方も、外部からというよりは、釉下の赤部から始まっているように見えます。さらに、上釉は非常に薄くしかかかっておらず、なおかつ、焼成が十分ではなく完全には溶融していません。

 

 

一方、黒釉と青釉はセットで使われています。黒線で模様を描き、そこに青釉がさされています。呉須赤絵魚藻紋大皿の各部を見ていきます。

黒線もやはり釉下彩で、上釉の下に描かれています。その上釉の上に、青釉が置かれているのです。また、上釉と青釉は十分に熔けきっていません。

色釉の劣化は、多くの場合、黒釉と青釉はセットで起こっています。例えば、外周の模様部の縦黒線と青釉は、同時に抜けて白くなっています。このような事は、外部からの力によっては起こりえません。黒、赤釉の劣化も、やはり内部から起こっていると考えられます。

外周部の縦に白く抜けた部分を拡大してみます。

縦の黒線部が緑釉とともに、見事に消え、白くなっています。白くなった部分は非常に均一で滑らかです。おそらく、白化粧した面が現れているのでしょう。

青釉の所々に、小さな黒点が多数散らばっています。焼成時に無数の小さな爆発が黒釉に起こって、上釉、青釉ともに吹き飛ばされたのでしょう。

呉須赤絵では、模様の端がスパッと切れています。

これも不思議です。黒線を描く時、こんなに鋭く筆を止めることができるでしょうか。

上の写真の右上部、三本の黒線のうち、左2本の拡大写真です(少し右に傾いています)。

スパッと切れているように見える部分は、渚の砂浜の様に徐々に薄れているのがわかります。また、隣の縦黒線までアーチ形の細い黒線が続いています。

上の写真の右下部分、鍵状の黒線部の拡大写真です。

左下の湾状部は、やはり削りとられたように見えます。

これらから、黒線部の端は鋭いのではなく、元々の黒部はもっと広かったのですが、無数の小爆発によって青釉に覆われていない部分の黒釉が失われでできたものと考えられます。つまり、薄くて十分に熔けていない上釉の下の黒部は、青釉に覆われていないと、焼成時、爆発(おそらく外部との反応)によって消えていきます。そしてその小爆発は、青釉の所まで続くのです。上釉の上に置かれた青釉によって、焼成時の爆発が防がれるので、黒の消失が青釉部に達すると、そこで黒釉の消失は止まると考えられます。その結果、青釉の置かれた境界から黒部が残り、青釉の所でスパッと切り取られたような形になります。

青釉が薄く、かつ、融解が不十分で孔が多くあいている場合には、青釉が掛かっていても、黒釉の爆発が焼成時に起こって、黒釉と青釉が同時に剥がれ、白い下地がのぞくのです。

したがって、青釉がかかっていない所では、引かれた黒線は消えてしまうことになります。そういう観点から、呉須赤絵の黒線を観察すると、黒線の切れ方がすべて納得できます。

ただし、ごくまれに、青釉に覆われていない場所に黒線が無傷のまま残っている所があります。

この写真の左側には青釉は掛かっていません。上釉だけです。ただ、この部分の上釉は、他の写真の上釉よりも均一度が高く、うまく黒線部を覆っています。そのため、青釉が掛かっていなくても、爆発によって失われることなく、黒線が残ったと思われます。

以上をふまえ、呉須赤絵大皿の作成手順を推定してみます。

1.素地に白釉を二度掛けして、焼成する。
2.赤釉で草花を描き、黒釉で模様を描く。
3.上釉を全体に薄くかける。
4.黒線で描いた模様の上を、青釉でふせる。
5.低火度で焼成する。

まだまだ疑問は続きます。それは、どうして呉須赤絵の黒線はこれほど熱に弱いのかという事です。呉須赤絵の黒釉成分はわかりません。可能性が大きいのは鉄です。しかし、鉄は相当濃くないと黒色にはなりません。また、熱でこれほどまでに劣化することもあり得ません。考えられるのは、鉄に有機物を加えて発色させた場合です。たとえば、タンニンを加えれば、漆黒の鉄になります。お歯黒がそうです。タンニン鉄なら、高温で空気中の酸素などと反応して分解するはずです。黒部が上釉、さらに青釉に覆われていると、高温の空気に直接触れないので、爆発的分解を免れます。

以上は、あくまでも推定です。赤部の消失については、まだ原因を考え付きません。

今回の観察で言えるのは、呉須赤絵大皿の色落ちは、経年の変化による色釉の脱離や使用に伴う擦れではなく、焼成時に起こったものがほとんどだという事です。

ただ、多くの呉須赤絵大皿を調べたわけでもありませんし、大皿以外の品物は手つかずです。

機会があれば、また、観察、検討を加えたいと思います。

 

 

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大皿・大鉢・壷21 藍絵呉須*鹿鳥兎紋大皿

2022年01月04日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

今回の品は、染付の大皿です。

径 41.1㎝、高台径 19.7㎝、高 7.9㎝。中国明時代末。

かなりの大皿ですが、真っ二つに割れた物を、焼継ぎで完全に接着してあります。指ではじくと、非常に澄んだ音が長く響きます。私の持っている大皿の中で、一番の音色でしょう。

きれいな発色の呉須で、ビッシリと絵が描かれています。

 

中央には、生き物たちが楽しそうに遊んでいます。

 

飛び回る鳥たち。

楽し気な2匹の鹿。

見上げる兎。

どれも、穏やかで楽しそう。

平和で長閑な楽園でしょうか。

外周には、楼閣山水。

裏面には、植物模様が描かれています。

高台周辺には、砂が付着しています。

さて、この大皿はどういう物だろうか?初めて見るタイプの皿です。中国の品であることは間違いないとしても、いつ頃どこで作られた?

呉須赤絵に似ている点もありますが、こんなにきっちりとした絵付けではないし、何よりも、全体の白さが違います。非常にきれいな白い器肌です。

そこで、苦しい時の天〇堂さん頼み。中国物や茶道具に強い老舗に、この大皿を持ちこみました。すると「こりゃあ、あいえごすだがや」と、三河弁丸出しの親爺さん。「アイエゴス!????」・・・キョトンとする私に、親爺さんは奥から一抱えもある大皿を持ってきて・・・「これもそうだがや」・・・なるほど、同一ではありませんが、よく似た絵柄の染付けの大皿です。もちろん、完品。しかも私の品よりも、さらに色が白い。どうやら、この手の皿を、「藍絵呉須」とよんでいるらしい。ただ、数が少ないので、業者さんでもこの用語を使う人は限られています。

現在、呉須赤絵も含め、下手の中国品に、かつてのような人気はありません。その傾向が特に顕著なのが、呉須手とよばれる染付の大皿です。見込みに、龍らしき生き物が2匹大きく描かれた大皿は、どこの骨董市でも見かけます。一見何が描かれているのかわからないほど奔放な絵付け、くすんだ呉須の色、灰白色の器体が特徴です。

今回の品は、このような呉須手とは明らかに違います。画面が非常に明るく、マンガのような線描で、動物や植物がしっかりと描かれています。画面は、あくまでも白く明るい。

少しタッチは違いますが、古染付に2匹の鹿が描かれた皿があります。やはり、草木に取り囲まれています。

いろいろな点を考えると、今回の品は、中国南部、山西、広東省、景徳鎮の影響下の民窯で焼かれた物ではないかと思われます。

先回のブログで紹介した細描赤絵金彩大皿と同じく、下手雑器の中で、ほんの少し背伸びしたニッチ品といえるでしょう(^^;

私も、鹿さん、鳥さん、兎さんたちが遊ぶ桃源郷に入れてもらい、浮世を離れて、しばしうたた寝(^.^)

 

 

 

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