月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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だいこんよ

2013-02-04 07:17:29 | 月夜の考古学

おでんやで だいこんをたのむのは
おとなだけです
こどもには まだ
だいこんのあじは わかりません

たまごとかちくわとかおにくとか
こどもはそっちのほうがすき
だいこんは いつもさいごまで
のこります

たんじゅんで まっすぐで まっしろなだいこんは
にがくて あまくて たんぱくで きどらなくて
おとなは にがいことを したことがあるから
だいこんが すきなのです
にがいことを しなきゃいけないから
だいこんが すきなのです

だいこんが いなかったら
にんげんは まっすぐがわからなくなる
にがいことをしているじぶんがなおらなくなる

だいこんよ だいこんよ
だいこんよ

まっしろでまっすぐな だいこんよ



     *


2008年ごろだったか、入院していたときにノートに書いた詩と自画像です。詩の方は少し手をいれて整理しました。

おでんはわたしも好きだけど、確かに子供の頃は、大根なんて食べませんでしたね。なぜあんなものがあるんだろうってくらいに思ってた。お肉や竹輪の方がずっとおいしいのに。

でも大人になると、大根がやはりおいしい。やわらかくて、甘くて、やさしい。大根がなぜ好かれるのか、わかるような気がする。食べると、何かが心にしみてくる。

大根は、見ても、食べても、やさしいです。単純で、まっすぐで、白くて、優しくて。

生きるために大切なことを、与えてくれる。教えてくれる。大根がいる。この世界には。だから生きているんだってこともあるな。

自画像の方は、あまりわたしに似てません。でもその頃の悲しみというかつらさに耐えていた自分の硬さがでているように思う。

それにしても、なんでわたしはあのころ、こんな詩を書いていたのかなあ。
もうずっと昔のことのようで、さっぱり思い出せないのです。


コメント
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