月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アルギエバ・2

2013-02-06 05:45:14 | 詩集・瑠璃の籠

人が好いという部類ではない
あなたは馬鹿だ!!
と 星は入ってくるなりわたしを怒鳴った
そして岩戸の揺れるような声でわたしに言うのだ

馬鹿を甘やかすな!!

わたしが呆然としていると
星は白い光をきりきりと燃やして
鋭利なナイフのような言葉で
わたしの心臓を切るように言った

あなたはしばらく黙っていろ
なにを見ても聞いてもなにもいうのではない
あなたがなにかをいえば
にんげんはあなたに甘えて何もしなくなる

馬鹿には馬鹿の鍛え方がある
糞にたかる蠅のようなやつらに
甘い夢などやるのではないわ!!

わたしは ただ驚いて なにも言えなかった
甘すぎるとはよく言われることだが
相当に星は怒っているようだった

凍りついたように動けないでいるうちに
ふと気づくと もう星はいなくなっていた
プロキオンが ちる と鳴く
わたしはただ驚いて胸の痛みを押さえていた
さっきの怒鳴り声のショックで 心臓の端が少し壊れたようだ
でも何かが自動的に働いて それを修復しようとしているのがわかる

アルギエバですよ

と どこからか彼の声がする

相当に怒っているようだ
やれやれ 人間め
糞にたかる蠅と言われたわ
糞のかたまりとどっちがましですかな

わたしはしばらくショックで口がきけなかったが
心臓の痛みが消えると 小さな息をついて
ようやく言った

それは あなたのほうがひどいですよ
でもあの方のほうが 怒っているようだ

岩戸の女神よ
しばらくはだまっていなされ
あのひとをこれ以上怒らせたら
何が起こるやらわからない

彼は言った
わたしはただうなずいた
反論をしようにも 今のわたしにはその力もえねるぎぃもない

アルギエバ 牙の天使
小窓の方を見ながら 
わたしはその名をつぶやいた



コメント (1)
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