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勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

踊り子

2007-04-21 01:53:22 | Weblog
 道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。 川端康成氏の『伊豆の踊り子』の書き出しである。
ヒメオドリコソウ

 世は朗読ブームだそうだ。プロの語りや、自ら声に出して読む朗読には、黙って活字を追う読み方とは違う味わいがあるらしい。東急世田谷線の車両を借り切った「朗読ライブ」や、朗読の合間に音楽を演奏する「朗読コンサート」などもあるという。

 『声に出して読みたい日本語』の著者・斉藤孝氏によると、「川端康成の文章は黙読よりも、ラジオから流れてくる静かな朗読で味わうのが一番心に染み入る。一つ一つの言葉が、まるで音の宝石のようだ」といっている。

 野の花「ヒメオドリコソウ」は目立たない花である。その踊子草で真っ先にイメージしたのは川端康成氏の「伊豆の踊り子」。天城峠を舞台に、一高生と旅芸人の踊り子との淡い恋を描いている。

 他にも踊り子のイメージは広がる。

 映画「哀愁」で、哀しい運命にもてあそばれるヒロイン・マイラはバレーの踊り子だった。

 バレー映画「赤い靴」のヒロインは、脱げなくなった赤い靴を履いて、野を越え谷を越え、昼も夜も休まず踊り続けなければならなかった。

 酒場の踊り子から映画の大スターへ、そして伯爵夫人へと登りつめ、悲しい結末を迎える、映画「裸足の伯爵夫人」。

 「哀愁」のビビアン・リー、「赤い靴」のモイラ・シアラー、「裸足の伯爵夫人」のエヴァ・ガードナー。 どれも美しいヒロインが踊り子の、悲しい結末の映画である。

 踊り子がテーマの歌もある。古くは三浦洸一さんの「踊り子」。また、45歳の若さでこの世を去った、シンガーソングライター・村下孝蔵さんの「踊り子」。吉永小百合さんも映画に出演し「伊豆の踊り子」という歌を歌っている。

 「踊り子号」の列車が走り、場末の怪しげな小屋からは、音楽に乗って踊りながら一枚一枚脱いでいく踊り子もいる。
そうだ、僕も踊ることを生業(なりわい)にしている、踊りジジイだった。

 あなたのイメージする踊り子はどんな踊り子ですか、そしてどの踊り子が好きですか?
1007.04.21