秋はスポーツの秋でもある。子どもの走る、跳ぶなどの運動能力は20年前と比べると、大きく低下しているという。しかし運動の少ないライフスタイルが定着したせいか、下げ止まりも考えられるという。
運動会の徒競走などでは、一等賞などの賞を設けず、順位をつけないと聞くが、それも疑問。勉強が苦手でも、スポーツで力を発揮し、自信を持つ子もいるだろうが・・・。
我が働き場所の厨房に並外れて体格のよい青年がいる。顔を合せると、歩を緩めほとんど立ち止まり、両手を横において直立不動の姿勢で「おはようございます」と、気持ちのいい挨拶をしてくれる。学生の頃、柔道をやっていたという。その礼儀正しさは、そんなところから来るのか、或いは彼の資質がそうさせるのか。
彼に聞いた。「柔道の世界でも、相撲の世界のように“かわいがり”といわれるようないじめはあるの?」
彼は言った「強くなるにはそんなことしている暇はありません。そんなことをしている学校は強くなりません」
彼の話によると、ある大学の柔道部の指導者は、オリンピックの元金メダリスト。その彼は、自分はオリンピックの金メダリストという自負と、自分では簡単にできることができないことに苛立ち、自らいじめに近いしごきをすると聞く。その学校からは強い選手は生まれないそうだ。
常々疑問に思っていたことがある。あの厳しさがあったから強くなれたという。それは練習という厳しさであって、殴る蹴るなどのいじめによって強くなったのとは違うと思っていた。礼儀正しい彼の言葉が、それを確信させてくれた。